44 乗馬
部屋の片づけが早く終わったので、先に外に出て蒼焔様達を待つことになった。しばらく待つと、3人が馬を1匹連れてこちらに向かってくる。馬はすでに準備万端で私の横にいるがその馬はどうするつもりだろうか。
「葵~、支度全部任せちゃってごめんねー」
「いえ、これも私の仕事の一つですから」
亮が先に走ってきて明るく言う。朝食を食べたおかげで昨日の疲れがいくらかとれたみたいだ。
そして、亮に続いて走ってきた蒼焔様も私の前まで来た。
(大丈夫大丈夫。もうあの変な気持ちもない。普通に接しられる)
「部屋の片づけ、旅の支度、すべて終わりました」
「おお、ありがとう。お疲れ様。一人で大変だったろ」
「いえ、そんなことないです」
「そうか?」
「それより、その馬はなんですか?」
「ああ、この馬は葵が乗る馬だ。いつまでも二人乗りではいざという時、速度が出せないからな」
「私のですか? ・・・ありがとうございます」
(馬・・・馬か・・・あまり乗馬は得意じゃないんだよな。前に乗ったのは前世だし)
考えていることが顔に出ないようにできるだけ笑顔でお礼を言う。
だが、ほんの少しの変化に蒼焔様は気付いたらしく、
「心配するな。一人で乗れるようになるまでしっかり教えるから」
と、言ってくれた。
優しいなあと思いながら、蒼焔様の後ろの方に視線を向けると亮といっつんが「三日で完璧に乗りこなせるようにしてやる」という顔をして、こちらを向いていた。
「・・・はい・・。・・・頑張ります・・・」
三日で乗れるようになるだろうか。・・・いや、強制的になるのだろう。
なんせ亮先生といっつん先生のスパルタ授業だ。乗れない方がおかしい。
(大丈夫・・・身体能力は前世までとはいかなくても戻ってきているから、最悪身体能力だけで馬に乗ってみせる・・・!)
「そうだな・・・馬に乗る上で一番重要なのは馬と心を通わせることかな」
(身体能・・・身た・・・し・・ん・・・・・心・・・やっぱ心かぁ)
考えをまとめて気合を入れたがアドバイスにより一瞬にしてその気合いは消えた。
「まあー、物は試しだよねー。とりあえずー乗ってみようー!! 大丈夫ー。落ちてもちゃんと手当てしてあげるからー」
「そうだぞ!! 誰しも最初は落ちるものだ」
「いっつん? なんで落ちる前提なんですか?」
いっつんに馬鹿にされたが乗ってみないことには何も始まらないのでとりあえず乗ることにした。
「「「おおー」」」
「のっ乗れたっ!」
早速馬に乗ってみたら意外とすんなりと乗ることができた。
前世で乗ったことがあるとはいえ、正直自分でも落ちると思っていたから結構嬉しい。とりあえず、いっつんに自慢しよう。
「ふっ、いっつんどうですか? 一発で乗れましたよ。すごいですよね」
「そうだなー、よかったなー、なぜ笑ったー?」
「葵すごいぞ!! よくやった、さすが俺の葵!」
(・・・ん? 俺の?)
いっつんの反応に少しつまらないなと思っていたら、蒼焔様の方から少し誤解を招きやすい単語が聞こえたような・・・
「蒼焔さ―」
「はいはいー乗れたなら、ついでにこのままー出発しようー」
「えっこのまま?」
ちょっと急すぎないかと思うが、考えてみると荷物は全部準備してもう積んであるし、この郷の責任者にももうここを離れることは言ってある。正直言っていつでも出発できる。
というか、私が馬に乗るために時間を取らせてしまった。次の郷まで距離があるというのに。
「よし、早く出発しましょう!」
少し展開が速いがいっつんを先頭に私達は郷を出発するのだった。
ちなみにいっつんはまだ馬に乗りなれない私のために少しゆっくり目に走ってくれた。
さっき落ちると思っていたことはなかったことにしてあげるよ。
お久しぶりです。そして少し遅いですが
今年もよろしくお願いします。




