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転生タイムスリップ  作者: Ari
第二章
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40 最高傑作

 鍵を開けていき、ついにその箱を開けた。


「!!」


 その武器を見た瞬間、時が止まったかのように思えた。

 目を見開いたまま、言葉も出ず、ただただ見つめることしかできない。


 その武器は白銀に輝く双剣。


(綺麗・・・なんて神々しいのだろう・・・いや、それよりも・・・)


 つながっている。自分の魂と双剣が。

 とても不思議な感覚だ。


(少年の言っていたことは本当だったみたい)


「持ってみてもいいですか?」


「ええ、もちろんです」


 私は箱から慎重に双剣を取り出す。

 双剣は片刃で模様が対になっている。


「これは・・・」


 箱に入っている時も思ったが、近くで見るとより綺麗だ。

 そして、落ち着く。


「やはり、これだったみたいですね」


 満足そうに頷きながら言う少年。


「わかるんですか?」


「もちろんです。その双剣を作ったのは私ですからね。魂のつながった相手が見つかって双剣が嬉しがっているのがわかります。というか、あなたの目から見てもわかると思いますが」


「えっ?」


「剣がさっきより淡く光っているでしょう?」


「え、本当だ。なんで!?」


「その剣は不思議な材料を使っていますからね。二年ほど前の満月の夜に空から月の欠片が降ってきたんですよ。運よく拾ったので剣の材料として使いました。そしたら最高傑作ができたんですよ」


「月の欠片?」


「はい。白くというか白銀に輝いていましたね。そう、その双剣みたいに」


「ヘぇー・・・」


(それ本当に月の欠片か?)


 あまり現実味のない話である。前世ならまだしも、今世にそういうものが存在しているとは正直考えられない。


「本当ですからね? ・・・まあ、今はそれはいいとして、その双剣の銘を考えましょう」


「名前ですか? もうあると思っていました」


 これほどの剣だ。すでに名前があってもおかしくないはずだ。


「私はいつも武器の魂がつながっている人が現れてから銘を付けているんですよ。その方がより、魂のつながりが強くなりますからね。・・・ということで、今すぐその外套を脱いでください」


「え?」


「え? じゃないですよ。あなたの外見がわからないと銘を付けようにも付けられないでしょう」


「外見見る必要あります? 魂がって散々言ってましたよね?」


「何馬鹿なことを言っているんですか? 私達の外見には魂が反映されているんですよ。そんなことも知らないんですか?」


「いや、皆多分知らない――」


「知らないんですか?」


「はい、知りませんでした。すみません」


 ・・・絶対に皆知らないだろう。

 この少年にはなんか逆らえない。いや、逆らったら辛辣な言葉が返ってきそうでできないんだろう。

 こういう人の対処法は一つだ。逆らわないこと、それだけ・・・。



(まあ、今は髪を染めているから大丈夫だろう。瞳は・・・珍しい程度でしょ。・・・多分)


 私は外套を脱ぐことにした。


「ほう・・・これはこれは・・・」


 少年は私の姿を見ると意味深にそう言ってきた。


「な、なんですか」


「いや、まさか剣と同じ髪色だとは思わなくて驚いただけですよ」


「!!? なぜそれを!?」


(染めているはずなのに、どうして!?)


「私は少々、特殊な家の出身でして、普通の人より目がいいんですよ。まあ、気にしないでください」


 めっちゃ気になる。

 だが、それ以上聞くことは出来なかった。少年の顔が笑っているのに笑っていなかったからだ。

 結局、聞かないことにした。


「あの、髪のことは周りの人に話さないでください」


「はい、わかりました」


 ほんと理解が速い。助かる。


「いや~それにしても白髪とは、とても美しいです。光の当たり具合によっては白銀に輝いているようにも見えます。・・・・・よし、双剣の銘を決めました」


「早いですね」


「こういうのは自然と浮かび上がってくるものです」


「そうですか・・・。それで銘は?」


 なぜか早く聞きたいと思った。


「その双剣の銘は ―銀月― 」


「銀月・・・、とてもこの双剣に似合っています」


(本当に合っている。才能あるな・・・あ、そういえば)


「ふふ、そうでしょう! それではその剣についていくつか説明を――」


「そのまえに、この剣のお代を支払わないと」


 すっかり、自分の剣だと思っているがまだ、お金を払っていないことに気付いた。

 こういうのはちゃんとしないとね!


「お代? お金なんていりませんよ」


「え、でも・・・」


 こんな高そうな、いや確実に高い剣なのにお代はいらないとか、少年の生活が心配になってくる。


「本当に要りません。私は剣が魂のつながった相手と出会えただけで嬉しいですから!」


(嬉しいですから! じゃあ、済まない問題なんだよな・・・)


 私が一人で唸って考えているのを見て、少年は察してある提案をしてくれた。


「じゃあ、こうしましょう。先程売った縄、あれ銀貨一枚分なんですけどお代は金貨一枚にします。それで納得してください」


「金貨一枚・・・」


(絶対もっと高いだろ・・・)


「言っておきますがこれは決定事項です。あなたに変えることは出来ませんし、僕も変えるつもりはありません。おとなしく、その双剣を貰ってください。わかりましたね。ね?」


「はい・・・」


 最後の「ね?」に今更、双剣を持っていかないなど許さないぞという念がこもっていた。

 なんか段々、遠慮がなくなってきてないか?



 という感じで私は少年の最高傑作、双剣―銀月―を貰うことになった。


「そういえば、銀月について詳しく話すのを忘れていました」


「?」


「ふふん、銀月は双剣以外にもなるんですよ」


「はい?」


「銀月は片刃です。ですから、刃がない方をくっつけて固定すると両刃剣になるんですよ!」


「え」


「それだけではありません! 柄同士をくっつければ両剣にもなります!」


「え、あ、うん、そうなんだ。さすが最高傑作だね」


「そうでしょう!! よし、説明はしましたし、縄も渡したし、用事は済みましたね。私はこれから用事があるのでさようなら」


「さようなら・・・え、ちょっと待って――」


 バタンッ


「・・・」


(急に展開速くない? この双剣、少年の最高傑作だって言っていたよね? もっとこう、なんて言うか・・・色々話してから別れるもんじゃないのか・・・)


・・・


「・・・帰ろう」


 銀月を両手に帰路についた。






 

お久しぶりです。

一か月以上投稿できなくてすみません。

夏休みの宿題に夏休み明けのテストに追われていました。

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