39 自信作
「武器は時に人を傷つける刃になるが、また時に人を守る盾にもなる」
「人を守る盾・・・」
その言葉に長い間ずっと心のどこかにあった鎖が解けた気がした。
「これは私の師匠がよく言っていた言葉です。武器を作る前には必ず言っていました。おそらくは武器の持ち主にこの気持ちが届くのを願ってのことでしょう」
少年はこちらを向き微笑む。
「あなたには守りたい人がいるのでしょう?」
瞬間、蒼焔様の顔が浮かんだ。私が絶対に守りたい人。
「! はい・・・はい!」
「ふふ。なら、守るための盾がないとですね。もう一度聞きましょう。武器が欲しいんですか?」
「はい。欲しいです」
「わかりました。あなたに合った武器を見つけましょう!!」
私と少年は武器が置いてあるところに向かった。
三十分後。
「う~ん、なんか違うんですよね」
「そうですか? 私的にはいいと思うんですけど・・・」
「いいや! 全然駄目です! 人にはそれぞれ、これ! っていう感じの武器が存在するんです!! 魂がつながっている感じのが!」
「そ、そうなんですか・・・。確かにあるかもしれませんがこの店にはない可能性も――」
「はあ? 何言ってんですか? この店に入ってきたのだからこの店にあるに決まってるでしょ。喧嘩売ってるんですか?」
「いや、売ってないです。なんかすみません」
武器を買おうと決めてから三十分、ずっとこんな感じである。
私が「これ良くない?」と聞いても、少年は「なんか違う」しか言ってくれない。
そんなこんなでこの店にある武器はほとんど見終わってしまったのだ。残っているのは手裏剣みたいのと、ハンマーみたいのだが、どっちも私が嫌である。
というわけでもう見れる武器がないのだ。
「う~ん。全部見終わってしまいましたね。これらは全部私の自信作なのですが・・・」
「なんか、ごめん・・・」
「いえ、気にしていません。よし、それでは店の奥にある、私の超自信作の武器を持ってきますか」
「まだあったんだ・・・」
二十分後。
「これらも駄目ですか・・・」
「いや、私的には全然駄目じゃない――」
「駄目ですか・・・」
「・・・」
超自信作の中にも私に合う武器はなかったらしい。
「う~ん。まだ、超々自信作と超々々自信作もあるにはあるんですが・・・合うかどうかわかりませんね」
(超々自信作? もっとマシな分類の仕方はなかったのか・・・いや、何も言うまい)
そこで、考え込んでいた少年が意を決したようにバッと顔を上げた。
「よし、あれを出そう」
そう言って、店の奥に入っていった。
しばらくして、鍵が何重にもかけられた大きめの箱を持ってきた。箱の外見もとても豪華であり、中に入っているのはとても貴重なものだというのがわかる。
「これは?」
「これには私の最高傑作の武器が入っています。今まで誰もこの武器を扱うことができませんでしたが、あなたなら扱うことができるかもしれません」
「最高傑作・・・」
(さっきまで見てた武器も蒼焔様達が持っているのと見劣りしないぐらいなのにそれよりもすごい武器ってこと? それって国宝級とかそういうやつなんじゃ・・・私が持っても大丈夫なのかな・・・)
私が少し心配になってきた横で少年は丁寧に鍵を開けていき、ついにその箱を開けた。
しばらく投稿できてなくてすみません。
夏休みの宿題がなかなか終わらないんですよね。
どうしよう・・・。




