32 執務室
執務室に張白の姿はなかった。
代わりに、
「だ、第一皇子殿下・・・!!」
五十代後半のおそらく執事だろうおじいちゃんがいた。
「そなたは・・・この家の執事ですか?」
「は、はい。執事の博文と申します。あの・・・こちらにはどのような御用で・・・?」
「張白殿に会いに来ました。・・・ですがいないようですね。もう、朝の十時を過ぎているというのにまだ寝ているのですか?」
「い、いえ別に寝ているわけでは・・・ないのですが・・・」
「では、どちらに」
「うっ、え、えっと」
だんだんと執事に圧をかけていく蒼焔様。
このままでは執事が危ない。
(魔法を使って張白を見つけ出すか、このままだと執事の心臓が止まる。
―<気配察知>)
私は気配察知で張白の気配を探る。
すぐに、見つかった。
見つかったところが少々予想外だったが。
<気配察知>に反応した張白の居場所は執務室。
つまりはここだ。
正確には執務室の壁の中の空間。隠し部屋からだ。
(隠し部屋があったとは・・・ビックリだね! 問題はそこにどうやって入るか、だ)
とそこで、蒼焔様からいまだに圧を受けている執事を見る。
その執事の目がほんの一瞬、壁際の本棚に向いた。
(あー、なるほどね)
隠し部屋へ入る方法の定番と言えば、本を本棚の指定の場所に入れることだろう。
私は本棚に向かう。
「あっ、お待ちください! 本に触れてはいけません!」
案の定、執事のおじいちゃんが止めてきた。
これで、本棚が隠し部屋につながる鍵だと確定した。
「なぜですか? 本を見ようとしただけなのですが・・・もしや、この本棚に何か秘密でも? たとえば・・・隠し部屋につながっているとか」
「っ!」
しまった。というような顔になる執事。
(なぜそこまで、張白をかばうのか・・・主だからか? わからないな)
とりあえず、隠し部屋にどうやったらつながるか考える。
(一冊一冊、空いてる所に本を入れるのは正直言って、めんどくさい・・・いっそのこと壊すか)
「蒼焔様、この本棚、壊してもいいですか?」
「何を仰っているのです――」
「おおー、いいぞ。早く張白を見つけたいからな」
「では、遠慮なく。<身体強化・三倍>」
(そういえば・・・このまま、壊すと本たちが危ない・・・魔力で包んでおくか)
本棚を壊す前にそのことに気付き、すぐに本を魔力で包む。
(これで、遠慮なく壊せるね!)
今度こそ、私は身体強化した腕で本棚を殴った。
もちろん横から。真正面からやったら、隠し部屋への扉が塞がってしまうかもしれないからね。
本棚は軽々と横にとんで行った。
そして、本棚があった場所の壁に小さめの扉があった。
「扉、ありましたよ」
「よくやった。よし、行くぞ」
「「「はい(-)」」」
私達は扉へ向かう。
「お、お待ちください!」
と、そこで先程の執事が扉の前に立ち塞がった。
「どけ、蒼焔様は暇じゃないんだ」
五丸がにらみつける。
だがそれでも、執事は引かなかった。
「ど、どくわけには・・・どくわけにはいきません!」
「・・・そうか、そういうことなら斬るまでだ」
腰の剣に手をかける。
どうやら本気のようだ。
だが、目の前で人が死ぬはあまり見たくないので止めることにする。
「いっつん、落ち着いてください。博文さん、そこまで必死になるということは何か事情があるのでしょう?」
「っ、な、なぜそれを・・・」
(やっぱり・・・)
「相談にのってあげたいところですが今は少し忙しいのです。少し、寝ていてください」
「? なにを――」
私は出来るだけ痛くないように手刀で執事を眠らせる。
そして、壁際に寄せておいた。
「いっつん。別に殺す必要はないのですよ。このように眠らせるだけでいいのです」
「う、そう、だな。すまない・・・」
「反省したならいいです。それじゃあ・・・行きましょうか」
今度こそ、扉に近づき、扉を開ける。
私の目に入ってきた光景は――
――上半身裸の張白と薄着の服を着た女性達・・・。
(・・・来るタイミングミスったかな・・・)
しばらく投稿できなくてすみません!
言い訳になるかもしれませんがもうすぐ期末テストでして、、
時間に余裕がないんです・・・。
でも、できる限り投稿したいと思っているので見てくださいね。




