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転生タイムスリップ  作者: Ari
第二章
32/44

31 執務室へ

 執務室の前まで来た。


「だ、第一皇子殿下、ここにはどのようなご用件で・・・?」


 今、話したのは扉を守っている兵士だ。

 おそらく、昨日のことがすでに広まっているのか、顔が真っ青だ。

 まあ・・・しょうがないよね。うん。

 そんな、兵士を少し哀れに思ったのか、蒼焔様も威圧的に質問することはなかった。


「張白殿に用があってね。扉を開けてもらえるかな」


「い、いえ、あの張白様は・・・」


「何か問題でも?」


「張白様に・・・今は誰も執務室に入れるなと言われておりまして・・・」


「貴様! 第一皇子である蒼焔様より張白の命令を優先するというのか!」


 いっつんがキレた。

 やめてあげなよ。兵士の顔色が青を通り越して、白くなってるよ。


「五丸、やめなさい。兵士の君、私は君に許可など求めていない。開けろと、そう命令しているんだ」


「ひっ・・・でも、」


 蒼焔様は待つのが嫌いなのか、少しイラついて、言葉が強くなってきている。

 

(しょうがない、ここは私が話をつけよう。女性の方が怖くないだろうし)


 私はできるだけ怖くないように笑顔で話しかける。


「落ち着いてください。怖がらせてしまって申し訳ありません。ただ、我々はすぐに張白殿に会わなければいけないんです。そちらにもなにか事情があるようですが、どうにか扉を開けてもらうことは出来ませんか?」


 完璧だ。絶対に怖くないだろう。

 だが、私の言葉を受けた兵士の人は顔を真っ赤にして固まっていた。

 怒らせてしまったのだろうか。


「「「はあーー」」」


 後ろでも三人がため息をついている。

 なぜだ。

 怒らせるようなこと言ってないだろ。

 私のそんな表情を見て、察したのか。


「違うよ~。葵、違うんだよ~」


 と、亮がそんなことを言ってくる。

 いや、なにが?

 兵士はまだ固まったままだ。動けよ。


「開けてくださいませんか?」


 もう一度聞いてみる。

 そうすると、反応がが来た。


「あっ、は、はいっお任せを!! あなたのためならば、いくらでも開けさせていただきます!!」


「お、おう・・・」


 随分と勢いよくだが。


「・・・あんま、やるなよ」


 そして、蒼焔様にやめろと言われる。

 そこは褒めてよ。扉、開けてくれるってさ。


「早く開けてください」


 そう言う、蒼焔様に褒めてと目で訴えたが無視された。


「葵~、えらいよー」


 代わりに亮が褒めてくれた。



 そして、扉が開く。

 そこには―



 ―張白の姿はなかった。


葵は褒めてもらえるとやる気が出るタイプです。

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