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転生タイムスリップ  作者: Ari
第二章
28/44

27 宴会3

「黙れ、厚化粧どもが」


 蒼焔様ー! 本来の性格が出かかってますよ!?


「・・・ふ―。張白殿。あなたは自身の娘の躾すらできないのですか?」


 冷たい顔で指差すのは三姉妹。

 これは、相当怒っているな・・・。


「何をおっしゃるのですか!? 私の娘たちは器量がとてもよく。さらに、蒼焔様と並んでも見劣りしないほどの美貌を持っているのです!! 多少のわがままは許されます!」


(え・・・こいつやば・・・美しければ何をしても許されると思ってるの?)


「張白殿、目が悪いのですか? それとも私を侮辱しているのですか?」


「仰っている意味が分かりませんな」


「あなたにはこの三人が美しく見えているのですか? 私には到底理解できません」


「なっ、蒼焔様! ひどいわ、私達はこんなにも美しいのにどうしてわかって下さらないのですか!?」


「素顔みせてから言ってください」


「わっ私達は必要最低限の化粧しかしておりません! 素顔は今とほぼ同じようなものです!」


 三姉妹は誰が見てもわかるような嘘をつく。


「言っておきますが、あなた達は化粧をして自分が美しいと思っているようですが、私は美しいとは思ってません。極々普通の顔です」


「そんなことあるはずないわ!! 私達は、私は世界で一番美しいのよ!!」


「どうやら、あなた達は相当自分に酔っているようだ。その酔い覚ましてあげます。葵。こちらへ」


 やっと私の出番が来たようだ。

 ただ、酒をかけられる前にしてほしかったな・・・。

 私は相当酒に弱いらしく、外套を着ていて顔には少ししか酒がかかっていないのにも関わらず、すでに限界をむかえ始めている。

 だが、これが終わればおそらくすぐに休める。もう少しの辛抱だ。頑張れ私。

 私は立ち上がり、蒼焔様の隣へ移動する。

 そして、外套を脱ぐ。


「「「「っ!!」」」」


 張白と三姉妹、ついでに周りにいた給仕達も驚きで固まっていた。 

 中には呼吸ができていない者もいた。


「どうですか? 酔いは覚めましたか?」


「・・・う。うそ、うそよ!! この世に私より美しい存在がいるはずない!!」


「そ、そうよ! どうせ厚化粧でもしているのだわ!」


 別に化粧は一切していない。


「信じない、絶対に! その化粧、私が落としてあげるわ!!」


 そう言って、再び酒の入った杯を手に取る美蘭。

 しかも、先ほどより明らかに量が多い。


(マジか)


 美蘭は勢いよく、私の顔に酒をかけてくる。

 今回は外套を着ていなかったから全部かかってきた――はずだった。


「っ!!」


「ふん!! これで素顔を・・・っ蒼焔様・・・」


 私に酒はかからなかった。だが代わりに私をかばった蒼焔様にすべてかかった。


(あー・・・これは、キレたかも)


 私は滅多に怒ることはない。だがここまでやられてやり返さないというのは蒼焔様の部下として恥だ。


「蒼焔様、一度この場は私に任せていただけませんか?」


「却下だ」


「なぜっ・・・!?」


 それ以上言葉を発することは出来なかった。

 言葉を発することは許さないという絶対的な覇気を感じ取ったからだ。

 本能で悟った。絶対に話してはいけないと。


「美蘭。貴様、自分がさっき何をしたかわかっているのか」


「っ! い、いえ私は、そ、蒼焔様に、かけるつもりは、なかったのです」


「つまり、俺の部下である葵にかけようとしたと?」


「は、はい。そうです。だから、決して、蒼焔様にかけるつもりは・・・」


「俺は! お前が俺の葵に酒をかけようとしたことに怒っているんだ!」


「「「ひっ」」」


 蒼焔様の覇気に殺気が混ざり始め、それを感じ取った三姉妹は腰が抜けてしまい、床に座り込んでしまった。


「情けないな。あれだけ強気だったのに少し殺気を見せただけでこのざまとは」


 これで、少しだって!?

 そんなわけあるかと私は今とても思っている。

 私でさえ、震えそうになるのを必死に抑えているというのにこれで少しとは・・・。


(絶対、蒼焔様を怒らせないようにしよう・・・)


 ひそかに決意するのだった。


「張白殿」


「は、はい! なんでしょうか」


「こいつらを、しばらくの間牢に入れとけ」


「な、何をおっしゃるのです――」


「できるな?」


「はい! 喜んで!」


 すべて終わった。

 蒼焔様も殺気を解いたので一件落着という感じかな。

 

「それでは、私達はこれで失礼します」


 最後は優しい第一皇子に戻っていた。

 

 そして、部屋を出る。

 扉が閉まるとすぐに、


「葵! 大丈夫か!? ごめんな。まさか酒をかけるとは思わなくて、一回目をかばうことができなかった・・・」


 と言っていた。

 だが、私には言わなければいけないことがある。


「いえ・・・それより、なぜかばったのですか!? あなたは私の主なのです。あなたが部下である私をかばう必要はありません」


「それは! ・・いや、その・・・」


「とにかく今度からはご自身の身を一番に考えてくださ・・・」


 そこで私は倒れた。

 どうやら限界が来たらしい。


「!? 葵!! どうした、何が・・・五丸! 医者を呼んで来い!!」


「蒼焔様、落ち着いてください」


「どうやって、落ち着けと!?」


「いや、だから・・・よく見てください。ただ寝てるだけです」


「え? あ。はあー、よかった」


「・・・」


 こうして波乱の宴会は幕を閉じた。

今回は少し長めです。

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