25 宴会
案内役に案内された部屋の前まで来た。
扉は大きくとても豪華だった。
扉を見るだけで、部屋にとてつもなくお金がかかっていることは見ればわかる・・・。
「第一皇子殿下、こちらの部屋です」
「ああ、ありがとう」
いっつんを先頭に部屋に入る。
部屋は、予想通り宝石やら金やらが使われていてとても豪華だった。
豪華なのだが・・・少し豪華すぎる。
(皇都から少し離れているのに、ここまで豪華にできるとは・・・ここは都でもない郷。どこからそんな資金が・・・。特産物でもあるのかな? あとで聞いてみるか)
今は宴会のことだけを考えようと意識を変える。
「おお、蒼焔様! ようこそおいで下さいました! 本日は存分にお楽しみください」
「ああ、張白殿。長くはいられませんが楽しませてもらいます」
「さ、こちらの席へ」
蒼焔様が通されたのは主役席。まあ、そうなるよね。
私といっつんは蒼焔様の後ろに立つ。
亮はなんか蒼焔様から別件で任務を請け負ってていない。
(なんの任務だろう? 亮にできる任務・・・?)
いまだに葵が亮に対する評価は少し低い・・・。
亮は大体何でもできるのになぜだろうか・・・。
・・・・・
宴会が始まって二十分。
ここまでは普通に平和に進んでいた。だが、
「蒼焔様、実は紹介したい者がいまして、」
張白が唐突に話題を出す。
おそらくこれは・・・
「私の自慢の娘を紹介させてください。三人とも入ってきなさい」
だよねー。
蒼焔様の予想が当たった。
(さて、どのタイミングで外套を脱ぐべきか・・・)
私が考えてる間にも話は進んでいく。
「右から明珠、麗華、美蘭です」
現れたのはおそらく二十歳、十九歳、十四歳ぐらいの少女。
全員、自分がこの世で一番美しいと思ってるような顔をしている。自信ありすぎだろ。
実際の所、厚化粧しすぎで素顔はわからないが、女性の秘密はあまり探るもんじゃないのでそっとしておこう。
(それにしても、張白という男、自信があるのかただの馬鹿なのか、蒼焔様の許可をもらう前に先に紹介しだすとは・・・蒼焔様はこれを予想してたんだろうな)
「初めまして、蒼焔と申します」
これまた、誰もが安心する優しい笑顔で挨拶する蒼焔様。
よくできるよなと隣で、いっつんが感心している。ちなみに私も。
だが、その笑顔が災いした。
三姉妹は脈ありと判断したのだろう。
許可なく蒼焔様に近づいてきた。
さすがに止めた方がいい。
「お嬢様方、これ以上は近づかないでください」
「「「!!?」」」
三姉妹の顔が笑顔から怒りに変わった。
(・・・しくったな。もっと別の言い方をすればよかった・・・)




