1 タイムスリップ
「おっはよー!あおっち!今日も本、読んでんのー?」
「おはよ、奈美。そうだよ」
魔法の世界から科学の世界へ転生して十六年、私はこの世界で楽しく暮らしている。今は高校に通っていて友達もいる。中でも奈美は仲がいい。
「あおっち、今日の一時間目は体育だよ!早く着替えな」
この世界での私の名前は”月城 葵”
友達は皆「あおっち」って言っているけど。
「ふふっ。今日もあおっちの瞳は綺麗だね〜。羨ましい〜」
奈美は私の目を見ながらそう言った。
私の瞳の色は前世と一緒で青だ。なぜかは知らない。この世界の九割の人は黒かブラウンの瞳の色をしている。人口は百億ぐらいだから・・・私の瞳は珍しいんだろうな。まぁ、どうでもいいけど。だって、しょうがないよ、前世では魔力持ってる人全員、瞳の色変わってるからさ?見慣れてるんだよね。
「ありがとう。じゃあ外に行こ」
「そだねー」
私達は校庭に行くため教室を出た。
ー校庭ー
「今日の体育、何するんだろー」「楽しみだね!」「そういえばさー」「えー、本当ー?」
外にはすでに皆集まっていて、談笑しながら先生を待っていた。前世とは大違いだなと思う。と同時にこの世界には戦争がないのだと、とても嬉しくなった。
(ずっとこの平和が続くといいな。前世は常に戦争が起きていたから・・・・・、もしかしたら明日から戦争が起きるかも――)
「あおっちー?どしたー?」
「あっ、ううん、なんでもない。」
(はぁー、またネガティブな思考に入っちゃったよ。・・・・・もう転生十六年。何も起こらず、平和に過ごしてこれた。戦争なんて起こるはずない)
「ウチらもあっち行こー」
「うん、行こう!」
もう大丈夫。
きっと大丈夫。
戦争なんて起きない。
私のせいで平和が壊れたりなんてしない。
そう思って私は皆の元に行こうと一歩、ふみ出す。
その瞬間、ブゥン と私の足下の地面に魔法陣が浮かび上がった。
「はっ?」
状況を確認するために周りを見回そうとしたが、辺りが一瞬で白く光った。
眩しくて、思わず目を閉じる。
(一体何が起こっているの!?)
目を閉じてから十秒ほどたっただろうか。眩しくなくなったから目を開けた。目に映った景色は校庭――ではなく、どこまでも広がる草原、遠くにたたずむ高い山々だった。
どういうこと?と驚いていると風が吹いた。風に吹かれた自分の髪を見て私は絶句した。
(なんで・・・どうして!?どうして、髪色が前世の色に戻ってるの!?)
葵の髪は黒髪から前世と同じ白髪に戻っていた。
そう、白髪―呪いの白髪に。
初めての作品です!
おかしな部分があるかもしれませんがあたたかく見守っていただけると嬉しいです。
これからよろしくお願いします!!