17 刺客
昨日、投稿できなくてすみません!
「いっつん、ねえーいっつん」
「亮、そのあだ名で呼ぶのを今すぐやめろ」
「あっははははは、めっちゃ機嫌悪いじゃん」
私が五丸にあだ名をつけてから、三十分ずっとこの調子である。私なりに五丸に似合うあだ名を付けたつもりだが、五丸はなんか気に入らないらしい。
「いっつん、何でですか? いいあだ名なのに」
「どこがっ?」
「あははははは、葵も面白いねえ―。はあー、やばい、お腹が割れる」
「そのまま、割れちまえ」
「ひどいなあ~」
「・・・なあ、お前ら? いつまで笑い転げているんだ? 今日中には郷に着かなければならないんだけど」
さすがに三十分もあったので蒼焔様は落ち着きを取り戻していた。
「そうですよね、蒼焔様! おい、亮いつまでも笑っているな! さっさと準備しろ!!」
これを機と見て、すぐに話に乗るいっつん。
「そうだぞ、亮。いつまでも笑っていては、いっつ・・・五丸がかわいそうだろう」
「蒼焔様?」
「はいはい、わかったよ。蒼焔様」
「蒼焔様? さっき、いっつん、って言い――」
「そうだ葵。お前は俺と共に馬に乗ってもらう」
「別に歩きでも大丈夫ですよ?」
「そういうわけにもいかん」
「おーい」
五丸の質問はむなしく、散っていくのだった。
あだ名騒動の後、葵達は郷への道を急いでいた。
先の件で時間を大幅に取られ、もうすぐ日が沈みそうになっていたからだ。
「亮のせいで、日が沈みそうじゃないか」
「まーだ、怒ってんの~?」
いっつんと亮はいまだにこんな感じだ。
「二人ともいつまでも喧嘩しているな。この道は夜になると盗賊が出るらしいから、急ぐぞ」
二人が役に立たないときはしっかり者になる蒼焔様。
いつもそうであってほしい。
「・・・はい。蒼焔様に免じて、今日の所は許してやる」
「はいはいー、。それはどうも」
二人も蒼焔様の言葉におとなしく、引いた。
そして、日が沈む前に郷に着くため、馬を速める。
(夜になると盗賊が出る、か。念のため、魔法で周囲を警戒しておくか・・・<敵意察知>)
私は周りに盗賊がいないか魔法で確認する。
(っ! これは・・・)
<敵意察知>に反応があった。
そしてこれは、
(盗賊の動きじゃない、統率がちゃんと取れている・・・どっちかというと、暗殺者?)
おそらく蒼焔様を狙った刺客。
(知らせるべきか・・・いや、一人で片づけた方が速いか)
「蒼焔様、少し掃除しに行ってきます。このまま進んでください」
「えっ? 葵、なに言って――」
蒼焔様が言い切る前に私は走り出した。
「え、蒼焔様、葵が走っていきましたけど、どうかしたのですか?」
「わあー、足、速いねえー」
「なんか、掃除してくるって・・・」
「掃除?」
「敵でもいたのかなあー?」
「敵? そんな気配はないが・・・」
「まあ、前方に走っていったから、進んでれば、そのうちまた、合流するだろう」
「少し、急ぎますか?」
「そうだな」
蒼焔達も馬を走らせ、葵を追う。
忙しい・・・・・




