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転生タイムスリップ  作者: Ari
第一章
15/44

14 出発

葵視点に戻ります。

 蒼焔様達が里を出た次の日。

 私も準備が終わり、里を出発しようとしていた。


「ヤンおばさん。そろそろ出発しようかと思います」


「そうかい、道中気を付けな」


「はい。短い間でしたが色々とお世話になりました」


「気にする必要はないさ」


 ヤンおばさんは優しく笑いながらそう言ってくれた。


(ヤンおばさんは本当にどこまでも優しい。・・・昨日、私の髪と瞳を見せたときも、蒼焔様と同じく、怖がらないでくれたし、「今まで、苦労したね」と声をかけてくれた)


 私は昨日の夜、ヤンおばさんならと思い、思い切って髪と瞳を見せていた。


「葵、これを持っていきな」


 そう言いながら、ヤンおばさんが何か大きな布を渡してきた。


「これは?」


 広げて見るとそれはフード付きのマント―外套だった。


「それを着れば、髪と瞳を隠せるだろう」


「っ!! あ、ありがとうございますっ!!」


 私は思わず泣いてしまった。

 一昨日会ったばかりの人間に、ここまで優しくしてくれるヤンおばさんには感謝しかない。


「ほら、泣くんじゃないよ。かわいい顔が台無しになっちまうだろ?」


「はい・・・す、すみません」


 私はなんとか泣き止む。


「ふっ。短い間だったがこっちも楽しかったよ。また、ここに来ることがあったら、顔を見せにおいで」


「は、はい!」


「それじゃ葵、元気でね」


「ヤンおばさんこそ、お元気で!」



 私はヤンおばさんに見送られながら、里を出た。

 もらった外套を身に纏って。


「確か東回りに行って、郷で合流だったよね。蒼焔様達は今どの辺りにいるかな? 里を出たのは昨日だから、たぶん今日の夕方ぐらいに着くのかな。なら、私もそれに合わせて走っていくか。合流はできるだけ、早い方がいいと思うし」


 里から郷まで距離的には約八十キロ程。

 八時間ずっと走り続ければ、一時間十キロ。


「身体強化使えば行けるよね。よし、<身体強化>」


 私は身体強化を使いながら、青い空の下を走り出した。




―八時間後―


「あっ、蒼焔様だ」


 八時間走り続けたおかげで無事に今日中に、蒼焔様と合流することができた。



 

第一章はこれで終わりです。

次回からは第二章です!

お楽しみに!!

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