11 旅の準備
次の日。
蒼焔皇子が私のもとに訪ねてきた。
「葵、おはよう。よく、眠れたか?」
「・・・おはよう・・・ございます」
「なんか不機嫌だな、どうした?」
「別に・・・そんなことありませんが?」
「やはり、不機嫌ではないか」
「そんなことないったらないです」
葵は今、とても不機嫌である。
原因は蒼焔が訪れた時間にある。そう、蒼焔は朝五時に訪ねてきたのだ。
いつもなら六時半に起きる。それ以上早くに起こされると、機嫌がとても悪くなり、不機嫌丸出しになってしまう。なのに、五時に起こされたのだ。葵にとって一時間半は大きい。
なので、今日は特に不機嫌が倍増されていた。
「なんのようですか? とても眠いんですが?」
「不機嫌なのは、眠いせいか。確かに少し早いかもしれないが、そんな怒るほどでもないだろ。」
「あ?」
「ああー、はいはい。悪かったな。ほら、飴やるから、機嫌を直せ」
そう言いながら飴を渡してくるので受け取って機嫌を直す。
ここで言っておくが、葵は甘いものには目がない。
「機嫌は治ったな、それじゃあ本題に入るのだが、実は早朝、皇都から即帰還命令が来た。なので今日、八時に出発する。それで、葵も皇都に連れて行くわけだが、この里を出るときは時間をずらすことにした」
「? なぜです?」
「それは・・・葵が俺に忠誠を誓ったのは、昨日の夜だ。そして、早朝に皇都から帰還命令が来た。そのせいで今俺たちはとても忙しい」
「?」
「つまり、まだ俺の部下たちに葵のことを話していない。なのに急に人を連れて行くなんて言ったら、誤解が生まれる。なので先に出発し、葵のことを話す」
「ああ、なるほど。理解しました」
「理解が速くて助かる。それで、合流場所なのだが、この里から東回りに道を進むと里があり、その先に郷がある。合流場所はそこにする」
「了解しました」
「それじゃあ話は終わりだ。またな」
「はいー。・・・・・寝よ」
葵はもう一時間二度寝したのだった。
そして蒼焔皇子達が里を出た。
私はそれを里のみんなと見送りながらこれからのことを考える。
(時間をずらせとは言っていたけど、どのくらいずらせばいいのか・・・、皇子達は馬に乗ってるけど、私歩きだからな。あ、そうだ忘れてたけど、旅の準備しないといけないんだった。・・・じゃあ、今日一日は旅の準備をして明日、朝早くに出発しよう)
予定が決まったので次の思考に入る。
旅に必要なものといえば?
・水(水筒) ・保存食 ・お金 ・かばん ・・・・・ほかに何かあるっけ?
(やばい。素人すぎてやばい)
「どうするべきか・・・」
と、小さくつぶやいていると、
「ほら、葵、さっさと行くよ」
ヤンおばさんが声をかけてきた。
「? どこに?」
「旅の準備をするんだろう? あんた一人じゃ心配だからあたしが手伝ってやるよ」
優しいぃぃぃぃぃ!!!!
どこまでも優しいヤンおばさんと一緒に旅の準備をしにいく葵であった。
今回は危なかった・・・
物語をストックしていたのに気付いたら、一話も残ってなかったのですから!
これからは常に二十話ぐらいストックできてるよう頑張って執筆していきたいとおもいます!!
応援よろしくお願いします!!!!