10 性格と外面
自信たっぷりなまっすぐな瞳。
その瞳には見覚えがあった。
だって、前世で見た瞳とそっくり―いや、同じだから。
色はもちろん違う。だが、私を見つめるその瞳からは色など関係ないというほどに前世と同じ自信とまっすぐさが感じ取れた。私はすぐに悟った。ああ、彼は転生しても記憶がなくても変わることはないんだと。
「ふむ、あまり驚いていないな」
蒼焔皇子はつまらんという感じで不満そうだった。
しまった、普通は絶対驚くやつだぞこれ。
「え。あっ、すみません」
とりあえず謝る。
自分が悪いと知ってる時はすぐさま謝った方がいい。その方がお説教は少ないしね!面倒ごとにもならないしね!
「別に謝らなくていいぞ。それに驚かれない方が俺も楽だしな。まあ、つまり簡潔に言うと今が俺の本当の性格。今までお前に見せていた優しい皇子様は外面だってこと」
「外面ですか・・・?」
「人間誰だって、外面を使い分けているだろう」
「そりゃ、使い分けますけど・・・皇子のは・・・なんていうか・・・外面の次元が違うって言うか、素と外面に差がありすぎると思います」
「ははっ、そうか? うん、いいぞ。お前みたいのを待ってたんだよ。俺のボケに欲しい突っ込みくれるやつ」
(ボケ? この時代にはもうボケがあったのか・・・)
「皇子の配下にはいらっしゃらないのですか?」
「いるにはいるんだが・・・、一人は真面目でもう一人は少しフワフワしていて何を考えているかわからん。欲しい突っ込みが来ないんだ」
シュンとなる皇子。
「あー、ドンマイです」
「どんまい? どんまいとはなんだ?」
(ボケあって、ドンマイないの!?)
「えっと・・・、気にしないで、大丈夫だよ、みたいな意味です」
「そうか、ありがとな」
「あ、はい」
意外と素直だな。
そんなことを考えていると皇子が急に真剣な表情になる。
「葵、この性格を見せた上で聞く。お前は俺に忠誠を誓えるか?」
真面目なそして少し不安そうな顔で聞いてくる。
「不安な顔をなさらないでください。あなたには自信たっぷりな顔が一番似合うのだから。――皇子、ご安心を。私はどんなあなたであっても忠誠を誓います」
その言葉を聞いて安心したのかいつもの自信のある顔に戻った。
(それでいい。やはりあなたにはその顔が一番似合う)
「では、基本お前の前ではこの性格で行くから、よろしくな」
「はい」
(よかった~。私としても優しい皇子より、前世と同じ今の皇子の方がいいからね)
こうして夜は更けていった。
今回は1000字越え!
「8湖」みたいな過ちは繰り返さない!
今後も目指せ、1000字以上です!




