時羅
私がその仕事を引き受けたのは休暇中のことだった。
「トキ、お前に頼みたい事がある」
ことの発端は、カゲ、もとい、影師からの言葉だった。
「やだ。まだ休暇中だよ?もっとゆっくりしようよ。もうじきここを抜けるんだし、その後でもいいっちゃいいけどさ」
「いや、いますぐでないと駄目だ。取り返しのつかないことになる」
「あーもう、ただでさえ師匠が無断で抜けたってのに面倒事に首を突っ込みたくないのよ。分かるでしょ?」
「わかった。ならば言い方を変えよう。仕事じゃない。師匠からの最後の試練だ。もうすでに俺は師匠から伝えられている」
「へぇ、それで?そんな嘘で私を釣ろうってわけ?着くならもっとマシな嘘をつけよ。笑えすらしない」
「嘘じゃない。真実だ。それくらいお前にも分かるだろう?」
「…ほんっとお前はわかりにくい。わかった、信じてやるよ。で、それは何だ?
魔竜の討伐か?」
「_____この組織を潰すことだ」
「は?」
一瞬、その言葉を理解しそこねた。が、脳が冷静になり理解が追いつくと、その難易度の高さに驚くしかなかった。
そして今、その組織の協力者である死神と対峙していた。
背後から爆破魔法を応用して作られた魔法銃を奴に向けて何発かはなったが、それが当たることはなかった。
「あれ?避けられた?へぇ、死神ってそういうことにも長けてるんだ」
おそらく反応からして、その速度自体は師匠に比べて遅いだろう。だが、決して遅すぎるというわけでもないのが厄介だ。
やつがこちらに振り向き、気味の悪い笑みを向ける。
「へぇ、この私に挑んでくるなんてねぇ。その勇気だけは褒めてやるよ」
気味悪い口調だ。ほんの少し寒気がする。例えるなら、この世の憎悪の権化みたいなものだと感じるほどだ。
「どうも、死神なんかに褒められる筋合いはないけど」
ついでにその腕につけている腕輪に目を向ける。番号は、_____zen06、間違いない。
「___そうか、そうかそういうことか。道理で最近はうまくいかなかったわけだ。あの野郎、裏切りやがったな?」
「さぁ?あんたが勝手に追い詰められてるだけじゃない?君は私達の目的のために邪魔だったから、ついでに潰されるだけだよ。じゃあ、さよなら」
私はもう一度、奴に銃口を向ける。
「いいさ。もともとお前らは気に食わないとは思っていたんだ。部隊ごと潰してやるよ。まずはお前からだ。時羅」
「もっとマシな遺言を残してほしいもんだね、死神さん?」
その直後に響いた銃声は、決戦の合図となった。
この世界に銃はありますが、銃社会にはなっていません。なぜなら銃が魔法に比べて無力すぎるからです。銃使うなら魔法使え、の世界です。
死神は死ぬと消えて、持っていた鎌がその使い手次第ではありますがその場に残ります。熟練者のものはほぼ体の一部みたいなものなので、触れると何かしらの悪影響がありますけど。