間章 貴族たるもの
俺は、貴族として育てられた。
「我々には圧倒的な力がある。だから私たちは平民どもを支配し、上に立つべき存在なのだ」
父上がよく使った言葉だ。権利平等、身分廃止。それが実行されてしまったこの国は腐っている。そのため、我々は上に立たなければならないのだと、ずっと教えられてきた。
俺には才能があった。
ほかの人よりも早く、多くの魔法を覚えた。
剣技だって、一年で周りに敵う者がいなくなるまでに成長した。
勉強だって、ずっと一番だった。
でも、父は褒めてくれなかった。当然だ。できて当たり前だといって、俺の成果を評価した。
だから、一番でなくなったとき、父は私を軽蔑した。
AWS魔法学校に入った時のこと、同族ではない、平民に、主席合格の座を譲ってしまった。
その時から、父は私に対する態度を変えた。
なぜできないんだと罵倒を浴びせられ、暴力を振るう日もあった。
貴族として、上に立たなければならない。
はじめは足りないのだと思って、必死に努力した。
だが、足りない。
どんなに努力を重ねても、彼女にはかなわない。
「憎いんだろう?」
ある日の夜、そんな声が聞こえた。いやにうるさい雨の日だった。
「貴族である自分を負かした女が、それに与する弱者どもが、のうのうと生きているのが」
ああ、そうだ。殺してやりたいくらいには。
「壊してしまえばいいじゃないか」
ああ、なんで思いつかなかったのだろう。
殺してしまえば、すべてが終わる。
だから俺は、俺を取り戻すために奴を殺すんだ。
雨は、いつの間にか止んでいた




