お嬢様とメイドと
私が次に目覚めた時、そこはテントの中だった。
「あれ?私、生きてる?」
てっきりあの怪我の影響で死んでしまったのかと思っていたが、助かったらしい。夢かと思いもしたが、未だにあの死神にやられた傷が痛むのでそれはないだろう。
「あ、起きましたか」
そう声をかけてきたのは、私が最後に見たであろうメイド服を身にまとった人物だった。よく見てみると、少し見覚えのある人物だった。
「あの、風間美咲さん、でいいんですよね?王都にあるの居酒屋の店主の。なんでそんな格好してるんですか?」
「ええ、間違いないですよ。でも、私の本職はメイドです。こっちの姿は知らなかったんですか?てっきりあの人から話されていると思ったんですが」
意外である。なぜなら、どう見てもあの店で働いている姿からは想像できない…とも言い切れない。そう言われるとそれっぽい気がしてきた。
だが、それなら一つ、腑に落ちないことがあった。
「あれ?じゃあなんででここにいるんですか?ご主人様とかそういうのがいるんでしょう?」
「じゃああなたは、そのご主人様がここにいるという考え方はしないのかしら?」
すると入口から、一人の少女とも見れる女性が入ってきた。だがその雰囲気は、明らかにその容姿から想像できるものではなかった。師匠に似た、強者の気配がする。
「あ、お嬢様、ご飯なら外にある鍋に入ってますよ。ごゆっくりお召し上がりください」
「ええそう…じゃないわよ。私は今日の夕飯が待ち切れない子供じゃないのよ。何なら年齢的にはあなたより上じゃない」
私は少し懐疑的な目を向ける。雰囲気こそそれっぽいが、精神年齢がそれに追いついているとは限らない。その逆も然り。この職についていて学んだことだ。
「なんでそんなに疑うのよ…まあいいわ。あなたは、優火…いえ、影時の弟子という認識であっているかしら?」
「…なんでそれを?まあそうですけど、師匠と知り合いなんですか?」
「ええ。それじゃあ夕飯もできているみたいだし、食べながら話しましょうか。私、ロゼリア・ヴァイオレットと、木口優火との関係について」
「あ、夕飯は食べたかったんですね。」
「…しょうがないでしょう。お腹は空いてしまうもの。」
私はそうして、師匠とこのお嬢様についての話を聞くことにした。




