時羅VS外道死神
辺りに銃声が鳴り響くと同時に、私はその銃を投げ捨て、小刀に持ち替えた。
セルはそれを見て、こちらに鎌を投げつけてくる。片手で鎖をもち、もう片方の手で飛ばしている鎌をコントロールする。器用なものだ。
私はその鎌を避け、軽々と接近する。が、相手の間合いにたどり着いてようやく気がついた。彼女の足元に、魔法陣が展開されていたことに。
それに気が付くと同時に、その魔法陣が光り、飛ばしていたはずの鎖鎌が彼女を中心として猛スピードで旋回する。旋回自体はそれほど長時間続かなかったが、その攻撃は私を狙ったものではなかった。
その範囲内にあった木々が、一斉に吹き飛ばされる。幸いそれに巻き込まれることはなかったものの、巻き込まれたらこちらの負けは決まっていただろう。
「これで戦いやすくなっただろう?お嬢さん?」
奴の表情は余裕に満ちていた。振り回している鎖鎌の空を切る音が、やけにうるさく感じられる。
「…お前との会話に付き合う気はない。とっとと失せろ」
「まぁ、そう切れるなっt」
私は彼女が喋り終わる前に動き、彼女の間合いに入ろうと前方に飛び出し、ナイフを投げた。
それは弾かれ、鎖鎌が飛んできた。私はそれを上に飛んで避けるが、それは失策だった。
飛んできた鎖鎌が、急激に軌道を変え、私の体に巻き付いた。
「せっかちだねぇ。焦らなきゃ、もっと戦えたかもしれないのに」
段々と巻きつける力が強くなる。焦りすぎていたと、今更になって反省する。だが腕は動くので、まだこれを続けることは出来そうだ。
「最後に言い残すことはあるかい?遺言くらいは聞いてやるよ」
「……この程度で勝ったと思うほど、君は馬鹿なのかな?笑わせてくれるね」
セルの顔が怒りに変わり、巻きつける力が強くなるが、私は焦らず、指を鳴らした。
瞬間、私は彼女の後方に瞬間移動した。
バキン、と、セルの巻き付けた鎖の中から、金属が割れたような音が鳴る。
その中から、ナイフだったものがバラバラとこぼれ落ちる。
「あ?…魔法か、小賢しい真似をしてくれるなぁ!?」
舞台は揃った。あとは自分次第だ。
「さぁ、始めようか」
私達の劇場を当てるスポットライトは、嫌なくらいに輝いていた。




