始まりの前日
ダンッ!
「聞いているのかしら?いい加減起きなさい!もうここに来てから三十分も経つのよ?」
机を叩く音と目の前にいる親友の言葉によって、私、木口優火は目覚めた。
もうすでに昼過ぎだから、私の至福である昼寝の時間を取らないでもらいたいのだが。
「どーしたの、カルラ。また面倒事?ガキの御守りは散々だよ」
「違うわ、あんなことは私もごめんよ。今日は別の依頼があってきたの」
今私と話している親友、カルラ・アーサーは、私がやっている便利屋のお得意様であり、魔法学校時代からの親友でもある。暇なときに顔を合わせるくらいには、仲の良い親友だ。
「別の依頼、ねぇ。一体何だい?最近は忙しいからね。手短に頼むよ」
「______王都から魔族がいなくなった。これはまずわかっているわよね?」
この国、ホーティア王国の首都には、様々な種族が暮らしている。獣人、魔族、エルフ____珍しいところでは吸血鬼なども住んでいる。
そんななんでも受け入れる国風ゆえ、なにか一つの種族だけがいなくなるというのは、ものすごく不自然なことであった。
「そうだね。それに乗じていろいろなことが起きているけど、それがどうかしたの?」
「国のお偉いさんから、魔族の国で知られる隣国、ルナリ帝国の実地調査と、魔王への取り締まりが命じられた。全く、こんな小規模な団体に頼るもんじゃないと思うけどね。この依頼を手伝ってほしいのよ」
そうだとしても、彼女のいる騎士団は、王都最高峰だと思うが。
「そういうことね。報酬は?タダ働きならゴメンだけど」
「王都からの報酬山分けよ。それでいいでしょう?」
断る理由は、微塵もなかった。
「いいね。その依頼、受けようじゃないか」
「決まりね。明日、ここに来るから、しっかり準備しておきなさい」
私は依頼を完遂するため、準備へと取り掛かった。
※この作品は今後改稿を繰り返す可能性がございます。ご了承ください。