薄く晴れた冬の朝
薄く晴れた
冬の朝
からっぽの心に
うずまく風
記憶のかけらが
呼びかける
うつろな街並み
誰もいない中学校の校庭
高架を走る電車の響き
あの街で
確かに君と暮らしていた
君がなにを言って欲しいのか
僕はわかっていた
でもその言葉を
言ってあげられなかった
別に意地悪をしたわけでもなくて
どういうわけか
その言葉が
出てこなかっただけなのだけど
夕暮れの部屋
さみしそうな顔をした君
傷つけるつもりはなかった
というのは言い訳にもならない
情けないのはこの僕ばかり
信じていてくれたのに
北風が
雲をさらって
どこかへ連れていってしまう
薄く晴れた
冬の朝
いろんな間違いを
犯しながら
それでも僕は
生きてゆくのだろう




