独白
観察ばかりが続いた日々ではあったが目に止まるような投稿をするような人々もいた。
トレーニングと食べた物を報告し続ける人や、好きな物に対しての考察を1人で綴る人、愚痴とも言えない悲しさを書き出す人。
1人で物事を考えるのが好きな彼は、誰が受け取る訳でもないのに独白を続けている人々に惹かれていた。
顔も名前も知らない相手に伝わることもなく共感したり、応援するのが心地良かった。
彼ら彼女らは面白半分に声をかけてくる連中を意にも介さず各々の世界を広げていた
中でも彼の意識に強く残っていったのは悲しさを書き出す人であった。
彼女(女性の絵のアイコンを使用していたので、彼女とする) の言葉は何故か他の人とは違うように見えた。
嫉妬や、寂しさの吐露など他の人が使えば愚痴や悪口になりそうな題材をいつも小説の一部のように書き出す彼女を目で追うようになっていたのである
彼女の読んだ小説が自分の読んだことのある小説であることに喜びを覚え些細なアクションを起こしたものの、有象無象の中から自分が飛び出すことはなかった
自分ごときに興味を示さないでいる彼女に誇らしさを覚える反面、寂しさや悲しさを感じるのは自分がまだまだ子供な証拠だと思った。