四回目は修道院にて
ふと目が覚めて寝具から、怯えるように跳ね起きた。
どうして死ねない? またここに?
まるで無限の責め苦のようだ。
いったい何度惨めに死ねと?
もう嫌だ、ここにいたくない。
何をしたってダメなんだ。
いずれ惨めに殺され、死ぬんだ。
そう思ったら、ここには、いれない。
朝餉を摂って、教師を呼んで、昼になったらサンドラと茶を。
普通に暮らすふりをして、陰では密かに準備を進めた。
逃げるんだ、この牢屋から。
決行するのは新月の夜、侍従を連れて抜け出した。
向かった先は修道院。
神のご加護の深い場所、ここならきっと――。
王子としての地位を捨て、ただ一人のヒトとして、
神に仕える生活は――ひどいものだね。
朝日が昇る前に起き、夜が来てなお働いて。
畑を耕し聖典を読み、畑を耕し聖典を読み。
食事はパンと、野菜もない汁。
お腹がキリキリ痛みだす――空っぽなんだ。
日に日に痩せて、衰えて、
誰かと話すこともない。
思わず愚痴を呟いた途端、
悪鬼のような表情で、修道院の院長が
鞭を振るって折檻をした。
――誇りも自由もなにもない。
畑仕事の最中に、高くそびえる塀を見て、
外の世界はどんなだろう? そう思ったら、
堰を切り、雪崩のように激情が。
――ここから逃げたい。もういたくない。
逃げるんだ、この牢屋から。
決行するのは新月の夜、たった一人で抜け出した。
壁に手足を引っ掛けて、登る、登る……敢無く落ちた。
頭を打った。ひどく痛んだ。
また登る。
指がひりひり痛みだし、思わず放した。
また落ちた。また登りだす。
やがて意識も朦朧として、どこが上だか分からない。
瞬間、頭に衝撃が。
――ああ、まただ。
こうして僕はまたしても、惨めな姿で死んでしまった。