第十四章 存在理由
『トラウマを思い出させ...精神崩壊を引き起こす系の催眠に近い物だね...?』
「おや、これは...」
「どうも、創ってくれてありがとう。だが、悪いが、あつの心まで人狼にするわけにはいかない。俺は、あつと話し始めてから丸一日も経過していないが、あつに惹かれる物を感じた。あつと俺は、文字通り一心同体だ。」
「ずいぶん早い反抗期ですね。」
俺に勝ち目はない。だが、あつは、もう親友以上の仲だ。
「俺は、あつを護る!そして...あつの選択通り、人狼を絶滅させる!」
(人狼を絶滅...?僕は...僕が願っているのは...)
『僕は...間違っていた。』
あつが目覚めたようだ。間違い?そんなものなんて...
『僕は...』
「僕が願っているのは、そんなことじゃない!」
『あつ!さっきのは大丈夫だったのか?』
「僕は...最初は自分の命を護ることだった。」
そう、あの時、御米館では自分の命で精一杯だった。
「そして...人狼に大切な人を殺されたくなかった」
だから...翔くんを守った。
「僕は...人狼を殺したいと思った。」
そして、確認せずに2人を殺そうとした。
「"人狼は敵"そう思い込んでしまっていた。
でも、確かに、僕は人間の敵じゃない。僕のような存在が居ることも考えず、人狼は全て敵だとしてしまっていた。
その”偏見”は、人間が持つ最も汚い物だと考えていた。
PGさんだって、人狼と人間が共存できる世界を目指している。
僕は...何故妖狐になったのかわかった。」
僕は、そう―
最初から、望んでいたことは一つだった。
「僕は、人間陣営じゃない。
人狼陣営でもない。
両者の悲しく不毛な争いを止めるために存在している。
僕は...
"第三陣営"だ!」
僕は、それ以上の言葉が出てこなかった。気が付いたら目から涙があふれ出していた。目が涙で覆われて、何も見えない。
「私も...」
PGさんが口を開く。
「私も人狼に変えられた時は半ば強制的でした。人間を喰わねばいけない、それはとても悲しいが、それでも、喰ってしまう。だから、私は、人を喰わない人狼というのを開発しようとした。その課程で、目の前のことしか見えておらず、そうして悲しむ人を作り出すのは、私のミスでした。」
僕は、涙が涸れるまで泣き続けた。途中からトラちゃんも隣に居たが、何も事情を説明できなかった。




