嫁に伝えていない幾つかの秘密。
俺が君に伝えていない事は、沢山有る。
君と出会った後も結婚直前まで三股かけていた事。
君と出会った後も見た目よりスキル優先で付き合っていた事。
今も君の見た目は全く好みとはかけ離れている事。
今も歩く速さが全く噛み合わず置いていかれて俺はいつも憤っている事。
でも、いつまで経っても君の代わりは見つからない事。全然見つからない事。
そのせいで君がもし先に亡くなったら、きっと再婚はしないだろうけど、逆にしっかり者の君は俺の代わりを見つけるだろうと達観している事。
もし、君が先に亡くなったら、俺は君の骨壺を抱いて寝られると思っていて、そんな事を言ったらあからさまに嫌な顔をするだろうと達観している事。
俺が結婚してから一度も名前以外で呼んだ事が無いのは、今でも気持ちが結婚前と変わらないからだけど、そんな事を言っても全く喜ばないだろう。君は昔からそんな奴だ。
ただ、自分でも判らないんだが、そんな君が気に入ったから結婚したんだと思っている事。そんな事を言っても全く喜ばないだろう。君は昔からそんな奴だ。
俺が君に伝えていない事は、まだまだ沢山有る。
きっとこれからも増えていくかもしれないが、こうして君の目に触れぬ場所に出しているのを許して欲しいと思っている事。
これからも二次元の方が良いやと思っているにも関わらず、何食わぬ顔で共に暮らしている事。
今も目の前に居るのに、君に対して思っているこんな事を書いている奴が、俺だ。済まない。でも諦めてくれ。お互い様だと思って諦めてくれ。
だから、いつかお互いのどちらかが亡くなるその日まで、一緒に居て欲しい。君は全く思っていないかもしれない。それでも構わない。ソウルメイトだか何だかだと思って、もう暫く付き合ってくれ。
俺が君に伝えていない事は沢山有る。
今までも有ったし、これからも増えるだろう。
でも自分でも判らないんだが、君の事以外は目に入らないんだ。何故かは判らん。見た目じゃないのは判っているんだが。
これからも、一緒に居て欲しいと、言ってみても君は喜ばないのは知っている。だから、勝手に横に居る事を、もう少しの間だけ、許してほしい。