七十六話
「じゃあ黄金チーズハンバーガーとブラックペッパーポテト」
「そんだけでいいのか?」
「夕飯は家で食べるから。それにしたら食べる方よ」
なるほど。それなら食べる方だな。
おれは適当に買ってきたハンバーガーなどのジャンクフードを机に置いてその中から愛咲が好きなのを取っていった。
時刻は午後6時。
ほぼ夏至なこともあって外はまだまだ明るい。
文化祭や週刊誌の一件について改めて細かく話すことにしたわけだが……
「お前……なんで怒ってないんだ?」
「ん?」
ハンバーガーを咥えながら愛咲は少し考える素振りを見せる。
「……だって昨日蹴ったし、もう十分よ」
「そういうもんか……」
「まあもう少し私のことを頼っても良かったんじゃないの、とは思うわよ?」
「なるべく知らさない方が成功しやすかったんだよ」
「それはわかるけど……あ、これについて聞きたかったの」
そう言って愛咲は一つの画像を見せてきた。
そこには嬉しそうにスマホを見る凛が写っている。
「嬉しそうだな」
「あんたとトークしてる時よ。凛と随分仲良いみたいね?」
それは予想外だが、嫌われるよりはましだ。
いや、そんなこともないか。
「……まあ、愛咲同盟結んでるからな」
「なによそれ………遊ぶ約束とかしてないわよね?」
「してない。あれ以来そんなに連絡取ってないからな」
といっても2日前くらいの話だ。
「凛をあんまり巻き込まないでよ。私の友達だから関わってきちゃうのはわかるけどさ」
「多分今回だけだ。文化祭ができればそこでも手伝ってもらうかもしれないけど」
「出来ないなんてことあるの?」
うっかり口が滑ったな。
上手くいったから気が緩んでる証拠だ。
おれは少し座り直してポテトに手を伸ばす。
「超大雨とかだったら多分な。つまり手伝ってもらうことにはなる」
「まあ文化祭ならどうせみんなも行く気みたいだからいいわよ」
「よかったよ。鷹宮たちも喜ぶぞ」
泣いて発狂する姿が目に浮かぶ。
「文香はマッキー……だっけ?彼と気があうらしいから」
「合いそうだな。文化祭で付き合ったりして」
そうなれば晴れて文化祭準備メンバー第一号だ。
「どうだか………ちなみに文化祭で何やるか決めてあるの
?」
「大方はな。それもちょっと今日話すつもりだった」
「才原のやりたいこと、楽しみね」
愛咲も結構乗り気みたいで良かった。
これでやる気無かったら持ち上げるのがめんどくさいからな。
おれは軽く手を拭いてからスマホを愛咲に向ける。
「ライブと写真撮影だ」
「………普通ね」
「おう」
「なんていうか………やっぱり才原って感じ」
「ため息つくなよ。シンプルイズベストだからな?」
愛咲のポテンシャルを考えればこれだけでも客は来る。
もちろん他の手も使うが、何よりあの生放送が衝撃的すぎた。
半端じゃない宣伝効果を発揮したんだ。
すでにネットニュースにはなってるし、他の週刊誌でも取り上げられるだろう。
「いつも通りにやればいいだけだ。……ただ」
「本題ね?」
約三週間の付き合いだ。さすがの反応である。
「新曲作るぞ」
「……………なるほどね」
「お前もうすうす感じてたと思うけど、今までの曲は可愛い系に特化しすぎてる。最初のデビュー戦こそおれが無理やり変えて躍らせたけど、ライブとなれば一曲じゃ少ない」
三光高校の文化祭でゲスト出演。
写真撮影はステージ外でやれるとしてもライブはやっぱりステージだ。
それを踏まえると
「最低6曲は歌う、踊るべきだ」
「今日が6月23日、文化祭が7月の18.19よね」
「あと1ヶ月、正直無理だ」
この前の曲は一番変えやすい曲を変えたわけであって、元から完全に可愛い路線の曲を変えるのは難しい。
練習することも考えると7月の頭、七夕くらいまでには全曲できていないと不可能だ。
「とりあえず2曲はもう作るように頼んである。あとの4曲が問題だな」
「私曲なんて作れないし………才原は?」
「前できたのはたまたまみたいなもんだ。あれを使うとしたら残り3曲」
「練習もしないとだし、収録も増えてきちゃったわよ」
そう、愛咲の言う通り最近バラエティ番組から声がかかり始めたんだ。
オンエアによって業界内だけじゃなく世間からも認知され始めたからだろう。
その分これから忙しさが今までの比じゃなくなる。
「とりあえず残りの3曲はどうするか考えておく。愛咲もなんかいい案があったら言ってくれ」
「わかった」
こんな会話をしてるが、果たしておれは文化祭を迎えられるのだろうか。
借金デイは6月4日。
約20日間が過ぎた。
来週でおそらくタイムリミットだ。
どういう悲惨な結末になるのか。
はたまたこれまでの頑張りが認められるのか。
「残り一週間が勝負だ」
「うん」
そして、おれはマネージャーでいられるのか。
文化祭編が見たいという人ぜひ評価ブクマお願いします!!!
見れるかはわかりませんが笑笑




