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六十五話

ちょっとペースが上がりました

 


「そうだよ。私にとって一番は妹たち。何があっても守るもの」


「他の誰かじゃない。なにを犠牲にしても私は家族を守る。それが私の信念」


 その言葉には確かな覚悟が感じられた。

 片山さんもおれと対峙した時こんな感じだったんだろうか。


「今までマネージャーにすら話してないんだよ?家に帰る時も替え玉まで使ってたんだから」

「原の周りに優秀なやつが多かったんだろ。モデルになって人気が出始めるまでは大した監視も付いてなかったんじゃないか?」

「そういうことなのかな……」

「でも、意図せずにおれがその魔の手から救ったってことだな」

「遅かれ早かれバレてただろうからそうなるね。一応ありがとう」


 ぺこりと頭を下げる。

 そこでこいつがまだなにも頼んでないことを思い出した。


「なんでも頼んでいいぞ。夜だしいっぱい食べてくれ」

「え……いいの?…………あとで全額払えとか言わない?」

「言うかバカ」

「バカってなにさ! 私の一個下でしょ!?」

「麗花さん………無理だな」

「何で!!………ふんっ! 財布空にしてやるからね!」

「はいはい」


 少しは気が緩んできてくれたみたいだ。

 そうでもなきゃ食欲なんてわきっこない。


「ピピピピピピッ」

「は?」

「どうしたの?」

「や、いまめちゃくちゃメニュー連打した音が……」

「気のせいだよ〜 ピピピピピピッ」

「せめて隠せよ」


 プリン連打しまくってやがる。何十個食うきだよ。


「………まあいいか。なんで賃貸とか借りなかった?見つかるリスクを考えたら月4.5万でも安いくらいだろ?」

「そこはお金じゃないよ。一緒にいなきゃダメだから家にいたの」

「アイドルの時も今も可愛くて綺麗、分類するとしたら清楚系だ。そんなあんたが古くて汚いアパートにいるなんて広まったら一気に終わってたぞ」

「それでも、だよ」


 タプレットを置いて、おれの目を見て答える。


「4人の妹、それからギャンブル癖の親のために必死でお金を稼いできた。でも私があの子たちには必要なんだよ。一緒に遊んで、話して、寝て、たまにケンカして………お金だけじゃ出来ないことがあるからリスクを負ってでも家で過ごしたの」


「誰を蹴落としても、誰を裏切っても私は家族を守る」


「なるほどな」


 病的、なんて言い方はこいつに失礼だろう。おれだってある意味妹を、家族を守るために働いてるようなものだ。

 それを簡単に一言で片付けられたくはない。


「あんたのその愛、きっと届いてるよ」


 これはおれの認められたい、褒められたい願望なのかもしれないけど、それでも届いていてもらいたいのは本心だ。


「…………」

「なんだよ……」


 人の顔を見つめて固まるモデルがいるか。

 外面は良くしとくべきだろ。


「あ、や…………そんな顔するんだなって」

「どんな顔だったんだよおれ」


 シャッターに収めときたかった。めちゃくちゃ気になる。


「とにかく! 私に協力してもらいたいんだっけ?」

「ああ。あんたと愛咲ってスタイルも近いし身長一緒だったからな。並んだらいい感じなんだよ」

「そこも調べてあるんだ………もしかしてスリーサイズまで………?」

「すぐに共演しろなんて言うつもりはないからそこも安心してくれ」

「私モデルだよ!? モデルがスリーサイズの話振ったのにスルーする普通!?」

「あんたも人気が出るのは間違いない。他事務所だけど片山さんの許可はおれが取ってうまくやってみせる」

「………わかったよぉ」


 これで強引にだが繋がりができた。おれのことをリークしたらこいつのこともリークするから家族を養っていけなくなる。

 おれの情報に今はそこまで価値もないだろうしな。


「というわけで連絡先教えてくれ」

「うん………あ、連絡先といえばさ彼女とうまくやれてるの?」

「あー…実は奈々とは今日カップルのフリしてたんだ」

「え……そういうことかあ。………でもあの子は……」

「奈々がどうかしたのか?」


 そもそもステージ上から見ただけで何かわかるんだろうか。


「さっき近くのカフェで会ったよ。ほら」

「は、はぁ!?なんで連絡先交換してんだ……!?」


 こいつと奈々が繋がってるなんて考えもしなかった。

 どういう経緯だよ……


「あの子すっごい落ち込んでたよ。私が声かけちゃうくらい」

「え………」

「もしかして気づいてた?」

「……ちょっと変かな、とは」

「ケンカしたわけじゃないみたいだけどフリするくらいなら仲良いんだよね?」

「ああ」

「明日、は無理か。月曜にでもちゃんと話してあげなよ」

「…………」


 おれがバイトのことを隠し続けてるってのも関係してたりするのか……?

 いや、でも奈々に限っておれってことは……


「そうしないと協力しないよ?」

「……わかったよ」

「うんうん! お姉さん嬉しいなぁ!」

「はぁ」

「ちょ、私のこと見たでしょ!? こっちは心配してあげたんだぞー!!」

「はいはい」


 なんとなく扱い方がわかった気がするな。


 奈々のこともあるけど、とりあえず上出来な一日だ。


「よろしくな。あー…麗花だな」

「もう敬語はどうでもいいけど、いきなり名前呼ぶタイプなの?」

「いや、妹が天音って言うんだよ。一緒だとややこしいだろ」

「へぇ………」

「だから麗花でいいだろ?」

「しょうがないよね。ふふ、よろしく慎」



これからたまにでてきますよ

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