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四十六話

ついにもう1人が出てきました

 


「ちょっと友達と会ってくるわ」

「え、お昼は?」

「今日はおれ抜きで食べてて」


 私に目もくれず慎は行ってしまった。


「お昼もバイトの友達なんだ……」

「休み時間がほとんどだったのにな!」

「忙しいんじゃない?」


 海斗と真姫はそんなに気にしてないみたいだけど、気になるなあ……。

 私はここでこの前の電話の内容を思い出す。


 あの時、話してたことは冗談って言ってたけど、"家"にいたのはどっちだったんだろ……


 天音ちゃんにサボって女の人と会ってたのは伝えたけど、あの感じからして誰だかわかってないよね。なら家に帰った時点で女の人はいなかったってこと。


 本当はもとから家になんていなかったんじゃ?


 シャワーの音はしなかったし、あれが全部嘘だったとすると本当はお風呂なんてない場所。


 もしかして、慎が今会ってる友達っていうのはあの電話の女の人なのかもしれない。

 私が「他校の人なの」って聞いたことに対してもスルーしてた。


 頭の中でパズルのピースが埋まっていく。


「これから慎をつけてくる!!」

「「え?」」


 2人は急に立ち上がった私に驚いたことだろう。


「遠くから見るだけだよ。誰か確認するつもりはないの。男なら慎を信じる。でも女の人と会ってたらすっごい嘘つきだったってことだよ!!」

「お、落ち着けって橘!」

「そうだよ。なんでそういう話になるの?」


 2人に説明してる暇はないよね。


「ごめん!事後報告になっちゃう!」


 私は止める2人を無視して、慎の行った気がする方向へ向かった。


「いた!!」


 慎は特別棟に入っていった。


 私の考えがあってるかはわかんないけど、とりあえず男と会ってるなら嘘はついてないんだ。

 女の人なら、物凄い隠し事をしてるに違いない。


 そのままこっそり後をつけていく。


「……3階かな」


 3階の辺りで階段を上る音は消えた気がした。


 私は一階から少しずつ、登っていくと


「うおっ……」

「え……」


 二階に男子がいた。顔は見たことある気がするからたぶん同学年。


「たしか2年の……」

「っ……」


 まずいことに気づいちゃった……!!


 たぶんこの人が慎の会ってた友達だ。


 プライベートなことだから詮索しても気づかれちゃいけなかったのに!!


 もし、この人が私のことを慎に言ったりしたら、慎の信用だけじゃなくて私の信用も無くなっちゃう……。


 でも、まだ私が慎と関係なく、勝手にここに来てると思われれば。それを慎に伝えられなければ大丈夫……!


 自分のために、慎のために、必死で頭を回して一つだけ思いついた。


「ごめんなさい!!気になって付いて来ちゃいました!!ダメだとは思ってたんだけどどうしても気になって……!!」


 それは本心で謝ること。

 可能性は低いけど、これしか思いつかなかった。


 天音ちゃんならうまく躱せたのかな、なんて思いながら相手の反応を待つ。


「っ…………」


 きっと今頭の中で慎への信用が崩れかかってるはず。


 私は心の底から願った。


「………ここで会ったことは秘密にしよう」

「え?」

「じゃあな」


 そう言って私の横を通ると階段を降りて行ってしまった。


「どういうこと………?」


 なにが起きたのかわからない。


 だけど慎が会ってたのは男だった。それだけは確かだ。


「とりあえず………嘘はついてないんだ……」


 すぐに私も教室に引き返すことにした。







  ––––––––––––––––––––––––––––––––––––







 まさかあんなとこで橘に会うとは……。

 周りには細心の注意を払ってきたが、いつのまにつけられていたんだ……。


 ただ、橘が謝ってきた理由はなんだ?


 ……全く見当もつかないな。


 オレは特別棟から出るとすぐにスマホのメモ帳を開く。


「とりあえず、今のことは全部メモだ」


 忘れてしまったらたまったもんじゃない。


「お〜い江東〜。昼食い行こうぜ〜」

「ああ。いまいくさ」


 クラスメートに呼ばれ、ながらスマホで学食に向かう。


 まあ、オレの目は誤魔化せない。

 絶対にはっきりさせてやるさ。




「才原慎、お手並み拝見だな」



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