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四十一話

 


「ゴールデンタイムって………私が……??」

「お前がだよ。元はもうちょっと遅い時間に放送だったらしいんだけど変わったんだ」


 たぶん片山さんがなんか言ったんだろうな。

 おれと愛咲の第一歩にインパクトを残すために。


 それだけ期待されてるってことだ。


「今までゴールデンに出たことは…」

「ないわよ!!……信じらんない…」

「おれもいきなりゴールデンだとは思ってもみなかったわ」

「……変わったってことは才原がなんかしたの?」


 おれがいろいろ手助け、まあ根回しをしてるからそうだと思ったわけか。


「いや、流石にゴールデンに打ち込むなんてことは無理だな。今回は片山さんだろ」

「あの人がなんでわざわざ……まあ、あんたとなんかあるみたいだしあり得るわね…」


 ジト目を向けられても困るんだが……


 いや、借金をバラさない程度になら言った方がいいか。

 この前一週間の契約もなくなったわけだし。


「前にさ、どうやっておれがマネージャーになれたのか話すって言ったの覚えてるか」

「"アリス"で話した時でしょ。一週間くらいで言わなかったら奢りよ?」


 奢りのとこまで覚えてたよこの人……


「それなんだけど………無理やり26階の事務所まで乗り込んでたまたまいた片山さんに失敗したらこんだけ払うんでチャンスくださいって言ったんだよ」


「………は?」


「えっと……まあ、その後すぐにスタジオ行ってお前と打ち合わせして見事成功したから今も雇われ続けてもらってる……ていう感じだ」

「……………なに、それ」


 固まって動かない愛咲。 


 今日は衝撃の発言ばっかで申し訳ない。

 でも全部本当のことだからな。


「あの日さ、新人マネージャーが来ることになってたろ?その会議があるのはネットでもわかったからそこに乗り込んだんだよ」

「……そんなこと……あるわけ…」

「ははっ、たぶんおれくらいだろうな」

「…………」


 あまりの内容に言葉も出ないらしい。


 まあ、話のヤバさは実行したおれが一番わかってるけど。


「そんで片山さんはおれとお前の実力を信じてゴールデンに入れてくれたんだろ。間違いなく人気でるぞ」

「なんか………あんたの力がほとんどじゃない?」

「何言ってんだよ。お前じゃなきゃあの流れは作れなかった。おれはあくまでサポート、マネージャーだからな」

「………はぁ………まあ最初だし、これから私自身の力も見せていければいいわよね!」

「その意気だな」


 どうしてそんなにマネージャーになりたかったのか、聞かれなかったのはありがたい。

 あんまり嘘も言いたくないしな。


「今は4時か……まだ5時間もあるな」


 こういう時にカフェでまったりはしていられない。

 どうしてもそわそわするからテレビの前で待っていたいものだ。


「カフェとかで休憩する気分じゃなくなったんだけど……」

「でも楽屋は出ないといけないからな。どっかいい場所は……」

「……いい場所って?」

「ん?……だってテレビ見れるけど人目につかないとこなんてあんまりないだろ?ホテルなんて誰かに撮られたら終わりだしな」

「……人目につくもなにもあんたは気にする必要ないでしょ。……ホテルがダメだとしたら家はどうなの?」


 何を言ってるんだこいつは、とでも言いたげな目だな…


「いや、おれはこんな時だけ家に戻りたくないし………なんかいいとこないか……?」

「帰りたくないって……そういえばなんであんたホテル通いなのよ?」

「いまはいいだろ?……あと5時間で場所を見つけないと」

「………なんでそんなに悩んでるんだか…」

「そりゃ悩むわ。だって………」


 そこまで言いかけておれはやめた。


 ……もしかしてこいつわかってないのか?



「……あ、あのさ、おれ2人で見るつもりだけど?」


「………え?」


 やっぱり1人で見るつもりだったらしい。


 なんか悲しいな……


「だっておれもマネージャーになった日の初めての収録だし、お前も毒舌アイドルになった記念すべき収録だろ?一緒に見るのが普通じゃ……」

「あっ、そ、それはそうだけど………よ、夜9時よ?」

「時間なんて気にするなよ。おれ深夜1時でも一緒に見たかったんだぞ?」

「え………そ、そうなのね……」

「なんかおれだけ思ってたみたいで寂しいな………」


 少し照れてる愛咲とは反対にわざと気落ちさせてみせる。


「い、いや!私も思ってたわよ!?でも……恥ずかしいし……場所もないし」

「おれはマネージャーなんだから恥ずかしがるなよ……まあ場所がなぁ…」


 まだパパラッチがいるとは考えにくいが一応警戒するに越したことはないだろう。

 一緒にいても不自然じゃない、でも人目にもつかない場所か。



「い、家………来る?」


「……え?」


「私の家………親もいるけど」


 愛咲に家に誘われた……?


 いや、落ち着け。急なアイドルの家来る?発言に一瞬ドギマギしてしまっただけだ。冷静になれ……


 おれじゃなくて愛咲の家、か。


 親がいるのはむしろいい。親を交えて仕事の話をしてたみたいなことも言えるしな。


 ただ、なんか恥ずかしいな……。


「……嫌ならいいわよ。言ってみただけだし」


 おれが無言だったのを否定と取ったのかそっぽを向く。


「いや、家いくか」

「ほ、ほんとに!?」


 それだとやっぱ嫌みたいに聞こえるんだけど……


「お前が言ったんだろ?ちょっと恥ずかしいけど一緒に見れる場所としてはグッドだ」

「わ、わかった!一応、家にいると思うから連絡しとくわね…」

「おう」


 何はともあれ急遽、愛咲家にお邪魔することが決まった。


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― 新着の感想 ―
[一言] これは「突撃愛咲家の晩御飯!」になる予感
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