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三十話

こんかい短いです

 


 慎との電話を終えて私は今日何度目かのため息をつく。


「慎が知らない女の人と、 か……」

「いやー、今のは正直怪しいよな!慎のあの慌てようはまじだと思うぞ??」

「やっぱりそう思うよね!?」

「私は才原くんとそんなに話す訳じゃないけど、あんなうまく演技したり、悪ノリする感じには見えないかな」


 一緒に聞いていた海斗と真姫も疑っていた。

 私だって最後は優しい感じで終わったけど、心の奥では納得いっていない。


「そもそもなんで私に頼んでくれないのかな!?たまに教えてあげてるのに!!」

「おれもそこは不思議だったよ。綾瀬だって聞いたら教えてくれるしな」

「やっぱり嘘だよ!!……私たちに内緒でなにしてるんだろ…」

「まあ、男と女がこっそりするって言ったら……なあ?」

「鷹宮くん変態」

「これが変態だったらさっきの橘はどうなんだよ…?」

「奈々は元からえっちな子だよ?」

「ちょ、ちょっと真姫!!何言ってんの!?」

「だって前にも––––」

「あれはダメだよ!!秘密って言ったじゃん!!パンケーキも奢ったよ!?」


 私は急いで真姫の口をふさぐ。

 実は真姫には一回恥ずかしいところを見られてしまっているんだ。だからこそよく話す仲なのかもしれないけど。


 よく話すといえば、この前のアミューズメント施設で連絡先を交換した子とも恋愛について話すようになった。

 そして不本意ながら慎のことも。


 今日のことも話さないとなあ……


 真姫のほっぺたをむにむにして憂鬱さを紛らわす。


「とりあえず6限無くなったわけだし、もう帰っていいだろ?また明日才原に聞いてみようぜ!」

「そうだね…」

「へ、ははしへ!!」


 何か言ってるけどよくわからない学年2位を離してあげて、不安は残るものの海斗の提案どおり今日は帰ることにした。









  ––––––––––––––––––––––––––––––––––––








「ありがとうございました、先輩」


 そう言って頭を深く下げる。相手はもちろん昨日背中を押してくれた先輩だ。


「その様子だと仲直りできたみたいですね」

「はい!先輩が励ましてくれたおかげです」

「いえ、主人として当然ですよ!」


 笑いながら軽く胸を張る先輩。

 本当にこの人の執事になれて良かったなと思う。



 昨日愛咲に蹴られて一通り悶絶した後、社員証だけを渡してあいつは帰っていってしまった。

 もちろんその社員証ってのはおれのやつだ。今まで片山さんから毎回話を通してもらってたけどこれからはその必要もない。正式なマネージャーだ。カバンの中に大切にしまってある。


 さっきクラスのやつからめちゃくちゃ問い詰められたけど他校の女子とバイトで知り合って教えてもらってたことにしておいた。

 たぶん誰も信じてないし、奈々もやっぱり怖かった。


 でも、今知られてなければいいんだ。


「やっぱり友達とは仲良いいのが一番ですよね」

「そうですね!ほんと仲直りできてよかったです。最近友達になったばっかですけど」

「…………羨ましいです」

「え……?」

「……あ、いえ!何でもないですよ!ほら、つぎの授業始まってしまうので行きますね!」

「あ、はい!」


  先輩の勢いに押し切られる形でおれも教室に向かった。









「誰かと会ってたの?」


 教室に入るや否や奈々に聞かれる。


「例の友達だよ。昨日のこととかも軽く話してた」

「そんなに誰か知られたくないんだ」

「まあな」


 おれから何も引き出せないと思ったのか席に戻っていった。たぶんもうしつこく聞かれないだろう。


 おれのいる三光高校は一学年240人ごとに校舎がある。

 各校舎をつなぐ長い道のりの間には学食やテラス、それに特別棟なるものがあって実験室や倉庫を除けば基本空き部屋だ。こっそり会うにはうってつけ。

 おれは何故か先輩からそこに呼び出されて話しているが、そのおかげで執事のことはバレずに済みそうだ。今までたまたますれ違っていた時も運良く一対一だったことでこの繋がりを知ってる人はいない。


 奈々たちには相手のプライバシーとかなんとか言っとけばある程度筋も通せるしな。深追いもされないはず。


「今のところ、でかい問題はない……か」


 スマホをいじりながら、いつのまにか始まっていた授業を受けることにした。









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