表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/90

二十八話

たのしんでくれると嬉しいです!

 

 さすがのおれも目が点になった。

 泊まる…?どこに…?ここに…?


「なんか疲れたし、このまま帰るのも嫌だし」

「いやいやいや…何言ってんだ、おかしいだろ」

「いいじゃんべつに」

「良くないから!そもそもベッド一つだぞ…?」

「……しゃ、しゃわー浴びてくるから…」


 照れるなら言うなよ。


「しかもまだ昼過ぎだぞ……」


 そんな言葉も虚しく、愛咲はシャワールームに入っていった。


 いま、向こうでアイドルがシャワー浴びてるだと?

 そんでおれはマネージャーだ。……なんだこの状況


 もちろん女子と泊まったことなんてないし、彼女がいたこ

 ともない。よってこんな状況は人生初だ。けど、なんだろうか。このダメなことをしているのに湧き上がってくる感情は……


 ブルルルッ–––––


「っ!!……奈々から……?まあ、学校サボってるから……」


 さすがに無視も悪いと思い、でることにした。シャワーの音は聞こえないだろうしな。


「もしもし?」

 『慎!!学校抜けてどこ行ってるの?もう終わっちゃうよ?』

「悪いな!ちょっとお腹痛くて保健室行ってたんだ。もう今は家だよ」

『……さっき保健室にいったら慎来てないっていわれたよ?』

「え………」

『……やっぱりなんか隠してるでしょ!言わないと家押し掛けるよ!』

「いやいやほんとだって!先生が忘れてんじゃ––––」






「さ、さいはらぁーー……私のカバンから洗顔剤とってくれないー……?」







『……え…』


 おれは一瞬でスマホを布団で包むが、


『……今の女の人だよね?』


 バッチリ聞かれていた。


「……妹の天音だよ。あいつ今日早くてさ」

『妹が才原なんて呼ぶ訳ないじゃん!!慎なにやってるの!?洗顔剤とか言ってなかった!?』

「いやたまにそう呼ぶんだって!!あいつがシャワー浴びてるだけだ!鷹宮にでも聞いてみろよ!?」


 そう言いつつ、おれは高速で鷹宮にメッセージを送る。


 頼む、策士。おれを救ってくれ……!!



『これスピーカーでみんなで聞いてるの』


「……ん?」


『さっき海斗がそんな風に呼ばないって言ってたよ』


『あ、しかもなにこれ……「天音は才原ってよんでる」かぁ。本当ならわざわざ送る必要ないよね……?』


 あいつ、スマホ取られてんのかよ!?


『ねえ慎!本当は何してるの!?どこいるか教え––––』






「ねえ才原聞こえてないのー?私は取り行きたくないんだけどー」


 シャワールームから少し顔を出した愛咲は続ける。


「ほら、聞こえてるわよね!?急に泊まるって言ったのは悪かったけど.無視しなくてもいいじゃん!!」



 かなり大きい声で。



『と、泊まるってどういうこと!!??…わ、私だってまだ………じゃなくて!!その人と話させてよ!!』

「いやいや、全然誤解だから!!明日ちゃんと話すから!!」

『そんなこと言って、またこの前みたいにはぐらかすんでしょ!?こ、これから……その人とお、大人になっちゃうつもりなんだよね!!??』

「いや、なんないから!!そんなんじゃないよ!」


 おれは愛咲に布団からスマホを見せて理解させる。

 開いた口が塞がらない状態に突入のようだ。


『絶対そういうつもりだよ!!違うなら場所教えて!みんなで行くから!』

「たから…………」


 やばい。どうすればいい。何を言っても助かる気がしない。

 せめて鷹宮がなんとかしてくれれば……


『何も言えないってことはそういうことなんだ……も、もしかして…もう大人になっちゃった…とかな、無いよね??』

「あるかっ!!学校サボってそんなことしねえよ!」

『でも、なにも教えてくれないじゃん…』

「そ、それは––––」


 おれが言い淀んでいると、いつのまにか隣に来た愛咲にスマホを取られる。


「なっ、」

「もしもし、才原の友達よね?」


 こ、こいつ……話しかけやがった……!!


『な、そ、そうですけど、あなたはどういう関係何ですか?学校サボってまでこっそり会って、何してるんですか!!』

「勉強教えてるのよ。学校のよりずっと分かり易いわよ?」

『は、はあ!?そんなわけないでしょ!!わざわざ慎があなたに-––––』

「なんか勘違いしてるみたいだけど」






「––––大人の勉強よ?」




 おれを含め、スピーカーの向こう側の全員が凍ったのを感じた。





下から評価、お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こういうの大好き、もっとくれ!!
[一言] ニヤケが止まらなかったです。
[良い点] とても面白いです!続きが気になります! [気になる点] とても更新が早くて、それ自体はとても嬉しくて楽しめてるのですが、体調とかの方は大丈夫でしょうか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ