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二十七話

連続です。


楽しんでくれると嬉しいです!

 


 愛咲も流石に考えてなかったようだ。


「そんでおれの服をなにかに結びつけてお前がコメントすれば愛咲が、前も同じ服着てたって言うと思ってな」

「そ、そういう意図があったの………全然思いつかなかった……」

「でもその代わりにでたのは悪くはなくて、むしろ良いコメントだった。なのにあの雰囲気だよ。さすがにおかしくないか?」


 おれは原に少しずつ詰め寄る。


「だから、そのあとフォローしてやったろ!!……なにも変じゃないさ」

「でもおれは女優の1人が愛咲を『可愛くなった』って言ってたのを聞いてる。……お前さ、木曜の愛咲の収録、誰かから聞いてきただろ」

「そ、それは………」

「そのことをお前は仲のいい出演者に話して愛咲をフォローしないように頼んだんだ。そこでお前がフォローすれば一気に愛咲の気持ちが傾くからな」

「それって…今みたいな状況にするため……?」

「そう。つまりこいつは、というかあの番組もほとんどそうなのかもしれないけど、人気の出だした新人をただ襲ってたんだよ」


「人気俳優が聞いて呆れるな」


 おれは原を愛咲から引き剥がすと部屋の入り口側へ無理やり押した。


「これはバラす。せいぜい言いわけでも考えとけよ」

「っ………くそがっ……!」


 原は苛立ちながらも、反抗する気は無いようだ。


 そこで、おれは一つ大事なことを言い忘れていたと気づいた。


「あと、お前に一つ言っとくことがある」

「……なんだよ。金でも払えってか……?」


 どこまでもクズだな。そんなことで許す気は無いし、そんなつもりもない。




「こいつが一番可愛い。お前が根回ししたどんな女優よりもな」



「………え…」






  ––––––––––––––––––––––––––––––







「………ええ!!??」


 私は今日一で驚いてしまった。


 な、なにを急に言い出してんの!?


 言い返すこともなく原さんは、舌打ちをして出ていったがそれどころじゃない。


 い、一番可愛い……!?ど、どういうことよ…!!



「…はぁ、とりあえずうまくいったな……」

「………え、うん……」


 なんで、こいつこんなに落ち着いてるのよ!!!こっちは心臓が破れそうなんだけど!!


「なんだよ……やっぱ流石に無理させすぎたか、悪かったな」

「い、いや!……そうじゃなくて」

「無理すんなよ。思ったことがあったらなんでも言ってくれていい」



「……さっきの一番可愛い…ってなに?」



 あ、才原が止まった。


「……い、いや!!別に深い意味はないぞ!?」

「ほかの女優より可愛いって……?」

「っ、だから、その……あいつにムカついただけだ」


「………ほんとに?」


「っなんだよその目は!……絶対信じてねえ…」


 信じるも何も言ってることがよくわからないし。

 私の胸の鼓動もどんどん早くなっていく。


「とにかく!これであの時のコメントが悪くはなかったってわかったろ?この映像も出せばあいつは終わりだし」


 でもここは方向転換にのってあげよう。……さっきのままだと、なんか良くない。


「……まあ、そうよね…」

「…おれの根回しもそんなにいらないか…。よくそっちを思いついたよ」


 実際あれを思いついたというよりは、才原を貶す方を思いつかなかった、の方が正しいんだろう。


 でも、本人には絶対言えない


 才原が悪く言われるのが嫌だったなんて。


 あ〜またなんかドキドキしてきた!!!なんでよ!!


「……まあね、私もいろいろ考えてたのよ」

「そうだよな……この先も色々大変な気がするよ」

「アイドルとそのマネージャーなんだから当たり前でしょ」

「おっしゃるとおりで…」


 なぜか少しの間が空いてしまった。

 でも、収録ではあれほど嫌だった間も今は悪くない気がする。若干変な気分ではあるけど…


「……あー、もう学校戻っても意味ないし、おれはいいや。愛咲はどうする?」

「私もいいわよ」

「おっけ」




「「……………」」




「……えっと、帰んないの?」


 才原が動かない私に遠慮がちに言ってきた。


 こいつは私に帰ってもらいたいんだろうか。

 そう思うと少し腹が立ってくる。……さっき一番可愛いとか言ってたくせに…。



 だから爆弾発言をしてやることにした。






「私今日ここ泊まってくから」





 ただの自爆だったかもしれないが。



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