二十四話
二話連続です
久々のお嬢様ですね!
楽しんくれると嬉しいです!
「はい!ありがとうございましたー!今日もお疲れ様です!」
スタッフの掛け声で終わりが告げられる。
おれはすぐに愛咲の側へ行こうとするが、
「春ちゃん!おつかれ!いいコメントだったよ!」
「え?」
おれより先に原が話しかけていた。
「俺あんまディスられることないからさ、新鮮だったよ!」
「ほ、ほんとですか……?」
「もちろん!……もし春ちゃんが良ければ《原との一日》出てみない?」
「え……な、なに言ってるんですか?」
「そのままの意味だよ!今春ちゃんを誘ってるんだよ?ほかにいっぱいいる女の子の中から」
「わ、私でいいんですか…?」
「うん。これおれの連絡先。話は通しとくから、すぐに打ち合わせしようね」
連絡先だけ伝えると原はおれの横を通り過ぎていく
「……可愛げのないアイドルだな」
おれはその呟きを聞き逃さなかった。
でも、今は愛咲が先だな。
「おい、大丈夫か?」
「え……ああ、才原……」
完全に凹んでるっていうか意気消沈だな。
「なあ、なんで原にあんなこと言った?」
「っ!!…………そう、あんたもそう思うのね」
「なにがだよ…。ほかに思いつかなかったか?例えば––––」
「言われなくてもわかってるわよ!!!」
「え?」
愛咲の声の大きさに周りも気圧されて、こっちを驚いたように見ている。
「きゅ、急にどうした……?」
「……もういいからっ!!!」
「おい!!待てよ!!」
おれは腕を掴むが
「はなして!!」
最初とは違う、明確な嫌悪をもった瞳に動けなくなってしまった。
結局その後話すことはなくホテルへ帰ってきていた。
「………くそ……」
何が働き続けて返済だよ。2回目でこれだぞ?
………なんであんな目で見てくるんだよ。
おれはお前のマネージャーだろ……。
「なにやってんだおれ………」
-–––––-–––––-–––––-–––––-–––––-–––––-–––––
「よう才原!」
「おお。策士か」
「どんなあだ名だよそれ…。眠そうじゃん」
「枕が硬くてなー。ちょっと寝るわ」
「おーう」
あのまま考え続けて徹夜は流石にやりすぎだ。
考えてるだけじゃどうしようもないことあるだろ……。
……あいつも学校行ってんのかな。
スマホを見るも昨日の夜から返信はない。
どうすっかなぁ…
––––ピロン♪
「っ!!!!…………先輩か」
愛咲だと願ったメッセージはおれを執事としたら雇ってくれている先輩だった。
……そうだ。執事も今日からだったな……とりあえず寝ないと……
考えを放置しておれは眠るのだった。
「こんにちは先輩」
「………こんにちは慎!なんだか疲れているようですね?」
「いえ、大丈夫ですよ!先輩は相変わらず元気ですね」
「はい!最近執事になってくれた人がいるので」
笑いかける先輩の笑顔は、おれの心の全てを洗い流してくれようで、
それでもまた湧き上がってくるものまでは消してくれなかった。
「––––––慎」
「え?」
いつのまにか先輩の手がおれの頬に触れる。
「せ、先輩…?」
「なにがあったんですか?」
「いや、そんな大したことは……」
そんなに表情に出ていたか。
「私には言えないことなんですね」
「いやいや!!…ただ友達とケンカしてしまって……でも理由がわからなくてですね…」
「……なんで今私と話しているんですか?」
急な哲学…ではないだろうな。もしそうなら今の脳で答えられるわけもない。
……結局わからないが。
「どう言う意味ですかそれ」
「どうしてその友達と話さないんですか。今慎が話すべきはその人でしょう」
「それは…が、学校が違うし、なのにメッセージは返ってこなくて…」
「じゃあ今すぐその友達の学校に行きなさい!」
「………は?」
何を言い出ってるんだこの人は?
今は2時間目休みで、あと授業は4コマもある。
「学校に来ている場合じゃないでしょう」
「え-––––」
「慎にとってその友達はとっても大切な友達なんですよ。今の顔を見ればわかります。こんなとこで悩んでいる時間なんて無いんですよ」
「っで、でも急に行ったって会えるかわからないだろ」
「会えますよ」
先輩は自信を持って答える。
「はっ、なんで?学校内に入って手当たり次第クラスを回ってけとでも?」
「友達も悩んでいるんです」
ズキリ、と胸が痛んだ。
「…それが?悩んでたら会えるのかよ」
「慎は悩んでる友達を放っておけるような人間じゃありませんよ」
「は……そんなこと–––」
「あるんですよ。そんなところがあなたにはあります」
……なんで、この人はこんなにもおれのことをわかった気でいるんだろうか。
「友達が困っていたらどこまででも助けに行く」
学校で会ったら話す程度なのに
「そして絶対に見つけます。会えないはずがありません」
つい最近おれの主人になったばかりなのに
「だから自信をもってください。慎なら仲直りできますよ」
こんなにもおれの心を押してくれる。
「……結局根性論ですか?」
「ふふっ…そうですね!根性ですよ!」
「ははっ、まだうちの体育教師の方がマシなこと言いますよ」
この会話の中で原田先生の株が上がってしまった。
「それはしょうがないですよ。私はあなたの先生でもないし、あなたは私の生徒でもない」
「私たちは主人と執事、そうでしょう?」
さすがは主人、執事を鼓舞するのがうまいことで。
「なんかこれからスパルタな主人に仕えるみたいですね」
「はい。それじゃあ、そのスパルタ主人からのお願いです」
先輩はおれをまっすぐ見つめて微笑む。
「友達と仲直りしてください」
おれは笑顔で応えた。
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