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二十一話

小林 雅 (こばやし まさ)ですね


たのしんでくれると嬉しいです!!

 



「っん…」


 唇に何かが触れた。


「………んぅ………」


 それと同時に頭が軽い浮遊感を感じる。


「…んん……あれ、ここは……」


 目を開けるとまだ明るい空が見えた。


「あ、そうか………あのまま寝てたのか……」


 体を起こしながら、痛いところがないか確かめる。

 こういうとこで寝ると最初気持ちいいんだけどあとが辛いんだよな…


 寝ぼけながらも時刻を確かめると集合時間まであと10分だった。ちょうどいいタイミングで起きれたらしい。

 加えて短時間にしてはものすごく疲れが取れた気がする。たまには外で休むのもいいかもしれない。


「あっ、鷹宮!よう!」


 そこでちょうど来たところの鷹宮を見つけた。


「ん、おつかれ。…だれか他にきてるか?」

「いやまだおれだけだ。…ってことは奈々が3番手か……」

「……そっか!あいつもたまには遅いんだな」

「だな。他のみんなもそろそろ来るだろうし、天音もついたかな」


 そう言っておれはスマホを見てみると天音からメッセージが来ていた。


『今日友達と大事な約束しちゃったからいけない!ごめんね!!』


「なっ!!……まじかよ」

「どーした?」

「天音用事で来れなくなったらしい。わざわざみんなにまで確認取ってもらったのにごめん!!」

「そうなのか。まあ気にしなくていいよ!天音ちゃん見れないのは男共にとってつらいことだけど、お前は来れたわけだしな!」

「……ありがとな」

「いいってことよ!」

「……でもほんとはライバルが増えないってのもあるだろ?」

「……まあな」


 そう、鷹宮は何回か一年の時からおれの家に遊びにきていたが、そこで天音と会って好きになったらしい。


 本当かどうか半信半疑だったけど意外とマジっぽいな…

 兄としては複雑な気持ちだ…


「天音ちゃん見て好きにならないやつなんて多分いないぜ?」

「フッ……さすがはおれの妹だな」

「兄貴はこんなんだけどな……」


 急なディスにも特に嫌な気持ちは生まれない。

 なぜなら、天音と比べたら誰だって下になってしまうのだ!!上を探すほうが難しい。


「おーい、鷹宮と才原ーー」

「お、クラスのやつらもきたな!!」

「奈々がまだなのが信じられないな……」

「私がどうかした??」

「うおっ!?」


 振り向くとそこには少し息を荒げた奈々がいた。

 こころなしか疲れているようにも見える。


「なんだよ、いたのか…駅の方から来ると思ってたぞ」

「私はトイレでちょっとメイク直してただけ。ついたのはまだ慎が夢の中にいた時だよ」

「やっぱりそうだよな!!お前が遅いからむしろ心配してたよ。………てか起こしてくれてもよくね?」

「気持ち良さそうだったからスルー!!」

「誰かに写真とか撮られてないよな……」

「だ、大丈夫だって!!私が通った時も周りに人ほとんどいなかったし!寝てても何もされてないよ!」

「ま、そうだよな」

「そうそう。才原の寝顔なんて興味ないからさっさと行こうぜ!!全員揃ったからさ」

「……おう、遊ぶか!!」


 全員揃ったところで2年2組約20人はアミューズメント施設に入っていった。










  ––––––––––––––––––––––––––––––––––––









 まずはボーリング、それから交代交代でテニスやバスケをして最後にカラオケをすることになった。


「あーーーースッキリしたーーー!!!」


 63点という見たことのない点数を叩き出したバレー部の小林は満足気にソファに座り込んだ。

 こんな点数だしてスッキリできるんだろうか……

 むしろストレスだろ。


「お前こんな点ありえねえよ……」

「大声で歌えればいいんだよ。今回のテストまじでだるかったからな……」

「そこは同意する」


 今回のテストはいわゆる中間テストだったが去年の期末テストと同じくらい問題の密度がすごかった。

 おれと鷹宮は割と成績はいい方だが小林はパラメータがバレーに全振り。赤点取らなかっただけマシだろう。


「橘と綾瀬、まあほぼ綾瀬だけどあいつらのお陰で助かってよかったよ……。今日奢るのもこっちからお願いしますって感じだな」

「さすがは学年トップだよなぁ」


 その後も近くにいた他のクラスメートと話題が尽きることはなかった。

 おかげでおれも久々の高校生の日常を満足していた。


「––––ねぇ慎、一緒に歌おうよ」

「は?」


 デュエットのお誘いが来るまでは。


「だからデュエットってこと!私恋愛ソングいれたから慎は男パートね」

「は、はぁ!?そんな恥ずかしいいことできるかよ!」


 絶対に無理だ。こんなとこで女子と恋愛ソングいっしょにとか死刑なんだが!!


「だって今のところ慎が男子の中で一番点高かったし!……まあ次が雅って時点でもう決まってるよね」


 おれの次に高いの小林かよ!!63点てそんなすごいの!?


「あ…もしかしてあんまり男子歌ってない?」

「あんまりっていうか2人と海斗だけだよ。あとはみんな喋ってるじゃん」

「ま、まじかよ……」


 一曲はせめて歌うもんじゃないのか……

 いや、でも鷹宮歌ったんだよな??


 そう思いおれは奥で女子と話していた鷹宮の方を向く。

 するとなぜが目があった。


 ––––––フッ


 そんなふうに鼻で笑われた気がする。


 はっ、まさか………あいつ…!!


「ちなみに海斗50点だったから」


 わざと下げやがったぁぁあ!!

 絶対にムードメーカーの仕事とか思ってんだろ!!そんな誰かを犠牲にするムードはいらないから!あと50点て歌ってなくない!?


 おれの怒りが燃え盛り始めてきたところで奈々が少し悲しそうに言った。


「やっぱ無理だよね…ごめんね」



 ––––なるほど。それを聞いて理解した。

 ここで断ればムードは最悪ってことか。さすがは鷹宮、いや別名策士。


 仕掛けられた瞬間、おれの答えは決まっていたようだ。


「いや、やるよ!!恥ずかしいけどせっかくの打ち上げだからな」

「えっ?」

「おれ本気で歌うから奈々もちゃんとやれよな!」

「う、うん…!!」

「お、デュエット決定か!!!いいねー!!」


 周りからヒューヒューという歓声が聞こえてくる。

 正直めちゃくちゃ恥ずかしいが奈々もいるから恥ずかしさは半分だ。


 そしておれたちのデュエットが始まった。






 しかしサビに入った瞬間––––


「っごめん!もう無理!!!」

「へ?」


 奈々は出て行ってしまった。


 いや、恥ずかしいのはわかるけど逃げんな!!!そっちから誘ってきたんだろ!?そもそもお前いなくなったら……


「あーー流石にきつかったかぁ。じゃ、残りの女パート全部才原な!!!」

「お、いいなそれ!!才原の女声めちゃくちゃ気になる!!」


 だと思った。


「く、くっそ……!こんなんじゃ……」


 せめて2番まではいてもらいたかった…!


 ……だけど、ここでやめるのも癪だな……。


「あーくそ!!もうやってやるわ!90点超えてやるから見てろよ!!」

「いけいけーーー!!」

「録画しといてやるよ!!」







 結果めちゃくちゃ盛り上がった。


 ちなみに点数は小林と鷹宮が爆笑してたのを見れば嫌でもわかるだろ。




ぜひ下から評価お願いします!!

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