十八話
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朝ごはんを食べた後、いつものように2人でゲームをして過ごし、学校であったことなどを話しているとすぐにお昼になってしまった。
愛咲とのミーティングがあるからそろそろいくか。
遅刻したらうるさいしな……。
「天音、そろそろおれバイトいってくる時間だ」
「え、もう!?まだ和食しか出せてないのに…」
「そこ??てか逆にほかのレパートリーがあんの!?」
「あたしお兄ちゃんが食べてくれるなら何料理でも作れるよ?」
「まじか……いつのまにそんな得意になったんだよ…」
「えへへ頑張った」
可愛い。
じゃなくて。ここで気を抜いたらこのあと地獄を、正確には殺気の源泉を見ることになる。そんでたまに言葉のナイフも飛んでくる。
「でもごめんな。またくるからさ!!」
「本当に行っちゃうの!?あたしまた1人かあ……」
うっ………心が痛む……。
でも借金がなぁ…………。
「じとーーーーっ」
「自分で言うなよ……」
今まで甘えてくることは多かったけど、最近は特にかもしれないな。まあ親もいないし当然ではある。
……しょうがないか。
「あーーわかったよ!!今日の夜か明日の昼にクラスのやつと打ち上げがあるんだ。来るか………?」
「お兄ちゃーーーん!!!」
「ちょっ、それ危ないから!」
妹ダイビング。クッションが二つ常備されてるが勢いが凄まじくて危険なアトラクションです。
ちなみにこっちは受け止めるだけ。
危うく飛びつかれた勢いで床に押し倒されそうだったぜ……
「おっしい……」
「え?」
「ん?クラスの打ち上げたのしみにしてるね!!」
「お、おお。また連絡するよ」
物騒なことが聞こえたような気がしないでもない。
いや幻聴だろうな…
とりあえず、天音が納得したようなのでおれは家を出ることができた。
「じゃあ、またあとでね!」
「おう。またな」
ニコニコの妹に送り出されて次はセカンドビルに向かったのだった。
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「あ、おはよ」
「おう。今日は遅刻してないだろ?」
「さすがに大丈夫よ。あと20分だからトイレとかいってくれば?」
「なんでお前の方がマネージャーっぽいの……」
発言が完全にそれだ…
「ポンコツがマネージャーだとこっちも必然的にそういう能力が付くんじゃないの?」
「その理論だとおれがくる前の愛咲はマネージャーの能力なんかあったのかよ」
「今までのやつは無能。でも才原はポンコツだから仕方なく私が……みたいな?」
「貶されてるのか認められてるのかわかんねえな……」
「どっちもよ」
「さいですか…」
無能よりポンコツの方が上らしい。まあ栄女のやつが言ってるんだからそうなんだろ。
うん、嬉しい!……とは全くならないが。
それから少しすると早めに関係者が入ってきた。
どうやらおれの話は通っているようだ。これならスムーズに進みそうだな。
予想通り、2時間も経たずにミーティングは終わった。
どこも平均はもう少しくらいかかりそうなものだ。
愛咲も集中が切れたのか、ぐーっと伸びをし始める。
「あーー疲れた!!ねえ才原、カフェ行くわよ」
「また奢りか?……というかあんま一緒にいない方がいいだろ」
「今日はいいわよ。それに……ほら!昨日のマスクとか持ってきたから大丈夫!」
「でも……まあいいか。そのうちバレにくいカフェとかも探してみようぜ」
「そうね。今日はどこにしよ」
さすがは現役女子高生とでもいうべきか。好きなものはカフェ、そして行きたい候補も山ほどあるみたいだ。
前、奈々にもカフェ誘われたしな。
「あっ」
「ん?どっか行きたいカフェあるの?」
愛咲が意外なものを見たような目で見てくる。
「いや、今日クラスのやつらと打ち上げあるんだったわ。明日の昼だと収録日だしなんか嫌だろ?だから今日の夕方くらいからにしようってなってさ」
「打ち上げねぇ……。それならそっち優先でいいわよ。才原も高校生なんだし」
「悪いな…。カフェはまた今度で頼む」
「オッケー」
天音にも連れてくとか言ったばっかだったのに忘れるとは……。最近頭疲れてんのかな……
「……………ちなみにだけど」
「ん?」
「男女……何人ずつくらいなの?その打ち上げ」
「えっと…たしか10人ずつくらいかな。いつもは仲いいやつとだけど今回はクラスみんなでって感じだ」
なんで人数なんか気にするんだろ。
「ふぅん………男女仲いいクラスじゃん」
「まあ悪くはないよな」
「ま、じゃあ楽しんできなさいよ!明日集まる時間はまた連絡するから」
「お、おう。じゃあな」
なんとも言えない表情のまま愛咲は帰っていった。
………あいつのクラス仲悪いのか?
……もしそうなら死活問題だ。日常のストレスがこっちの仕事に影響を与えるに決まってるからな。
数分考えて今度それとなく聞いてみようと決めたおれも打ち上げに向かうことにした。
しかし、セカンドビルを出るところで重大なことに気づく。
「あ、あの人っ!あの時の受付嬢だよな……」
そう。完全にそっちも忘れていた。
「これ忘れるのはダメだろ………」
どんだけ頭いっぱいいっぱいなんだよ。
そう自分を情けなく思いながらもカバンを探ると、マスターキーが入っていた。そういえば昨日ホテルに戻ってからカバンに入れていたのを思い出す。
さすがは昨日の自分だ……執事になっただけある。
「……これなら今、謝れるな」
おれはマスターキーを手に受付嬢の元へと向かった。