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第一話 草原での出会い

落ちる……



落ちてゆく…



どちらが上でどちらが下なのかも分からない




分かるのは自分の体が漆黒の闇の中を落ちてゆくことだけ




痛い



頭がいたい




私は急激な頭痛と共に意識を手放した






何だか肌寒い。ただそれだけで目を覚ました。ただその肌寒さは寝ている間に布団を蹴飛ばしてお腹が冷えたとかそんなんではなかった。というか……まず見慣れた自分の部屋でもないというか…。


『なに?…これ?』


目の前に広がっていたのは見慣れない広い草原だったのだ。私が記憶してる限りではこんなに広い草原は約17年間の人生の中で見たことも来たこともない。


慌てて周りを見回すと近くの草むらに何か落ちている。草をかき分けてみるとそれは自分の通学用鞄だった。

鞄を拾い上げて私は記憶を辿ってみた。言っておくが決して冷静ではない。てかこの理解不能摩訶不思議な出来事を冷静に受け入れられる人がいたら是非是非お目にかかりたいものだ。


え、えっと。今日はいつも通り朝家を出て学校に向かってて…あ。途中で智子に会ったんだ!んで一緒に学校へ行ってんでんで…。


記憶を一生懸命辿ってもどうしても私の置かれたこの状況にたどり着かない。


『ま、まずは冷静になることが重要よね!!冷静に冷静に!冷静になるのよ合歓千晶17歳!!』


独り言を呟きながら辺りを散策する事に決めた私は再び辺りを見回した。

どこまでも広がる広い草原。果てが見えん。


……………




……………………




とりあえず考えてても埒があかないので適当にすすんでみることにした。


一歩踏み出そうとした。その瞬間何かが視界を横切った。


『??』


横切ったものを目で追うと草が一部焼け焦げていてその部分だけ土が丸見えになっていた。しゃがみこんで土を見てみると金属片らしきものがめり込んでいた。


指でほじくり返してみるとそれはなんと銃弾だった。


『じ、銃弾〜!?』


私がそう叫んだ瞬間丸見えの土のすぐ横に再び銃弾がめり込んだ。


「やっと見つけたぜ!!巫女!!」



いきなり聞こえてきた声に振り返ると男が1人立っていた。


身長は180前後くらいでオレンジ色の眼をしている。髪は今風でワックスで立ててあるのだろうか?ツンツンしている。前髪は長め。黒髪をベースに金のメッシュが多数入っている。所謂ホストにいそうな髪型だ。服装はどこぞやのバンドマンみたいな髪型をしている。


そして何よりも…。ホストみたいな頭の上には獣の耳。そして何故か虎みたいな尻尾が生えている。


なんなの!?こいつ!?



『ああああああんたなんなの!!?何者ですか!!?』


「あんたにそれを教える意味はないね!どうせあんたは死ぬんだからな!!」



うぎゃああ!!なんじゃこのコスプレ変質者は!?

取りあえずコイツまともじゃない!逃げなければ!!


私はコスプレ虎男に背を向け走り出そうとした……が。



急に私の右足に今まで体験したことのない痺れが走った。私はそのまま地面に叩きつけられた。しかも顔から。



振り返ると虎男が不敵に微笑んでいた。



「俺から逃げようなんざ100年はえーっつーの。」



じりじりと虎男が距離を詰めてきた。立ち上がろうとするが足がまだ痺れていて動かない。なんでこんなときに限って足が痺れるんだ!!


「俺の雷の力をまともに喰らって動けると思ったのかよ?甘いぜ」



雷の力??こいつ……コスプレしてる上にゲームかなんかと現実を混同してやがる!!


『あんた!!さっきからなんなのよ!?巫女やら雷の力やらそのコスプレやら!!私をあんたの奇妙な妄想に巻き込まないでくれる!?てか巻き込まないでください!!』


「この期に及んで命乞いか巫女??しらばっくれるな。」



……ダメだコイツ。まともじゃないんだった。

こーなったら暴言吐きまくってやる!!

私は虎男のオレンジの瞳をキッと睨んで口を開きかけた…その時




グゥウギュルルルル…




その場の時間が止まった。いや実際には止まってはないが、少なくとも私と虎男の時間は止まったのだ。緊迫した雰囲気には似つかない間抜けな音。

目の前の虎男の端正な顔が見る見るうちに赤く染まっていった。


もしかして…。



私は急いで鞄の中をガサゴソと漁った。そしてお気に入りの弁当箱を取り出して虎男に差し出した。


虎男はポカンと間抜けな顔をして弁当箱を見た。


『お、お腹空いたならこれ食べてもいいですよ!!』


とりあえず私はこの虎男の注意を自分から逸らしたかったのだ。そうしないとマジで生命の危機だと思ったから。



「うううううるせぇ!!あんた自分が置かれた状況分かってんのか!?」



真っ赤な顔で言われても緊迫感はない。勝てる。今なら勝てる!!私は直感した!



『盛大な腹の虫だね』


「!!!」


『そんなでかい腹の虫の音聞かされたら緊迫感もクソもないんですけど!』


「!!!!!!」


『こんなひろーーーい草原だったら食べ物にはなかなかありつけないと思うんだけどなぁ』



「………………」





数分後、私の目の前にはあぐらをかいて弁当を貪るオレンジの瞳をした男がいた…。

こんにちは!


十二支遊記を読んでいただきありがとうございます!


更新は不定期になりますが最後までお付き合いいただけたら泣いて喜びます。


拙い文ではありますがよろしくお願いします。

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