竹林の刹那
ハクアの転移門の先に広がるのは
静寂に包まれた竹林
どこからか鳥のさえずりは聞こえ、風によって葉が擦れる音が聞こえるだけの竹林である
少年はそこに降り立った
ハクアは鼻歌を歌いながら楽しそうに竹林の道なき道を進もうとしている
少年は疑問に思った此処には人の気配が一切感じられなかったからだ
(ここに本当にハクアさんの言う人はいるのか?)
そう思いながらハクアのあとをすすむしかなかった
1時間ほど竹林を進むとハクアは急に止まったと思ったら心底楽しそうに笑顔で正面にしゃべりかけた
「一人かい?いつもは弟子を引き連れてるじゃないか少なくとも3人は」
そうしゃべりかけると
竹林の奥から
黒の着物に白の羽織を身に着け帯刀した、歳は80くらいに見える男性が楽しそうに、こちらに向かって歩いてきた
「あんたさんが、いつもより機嫌がいいからのう」
と言いハクアの前で腰を下ろした。
この言葉に対しハクアはこう答える
「ああ、ついに決まったからな新しい七柱候補からな」
「ほう、その小僧か?」
「そうさ!」
「ふむ⋯何がお前さんにそこまで言わたかわからんが⋯そこまで言うということは見込みがあったんじゃろ。
話は中で聞かせてもらうとするかのう⋯どうせ、そやつを弟子にしろという事だろうしな」
と言い立ち上がり竹林の奥に歩き出した
少年はこの時ただ立っていることしかできなかった
老人から感じたのは凄まじい殺気だった
たった一言二言の言葉はまるで喉元に刀をつけつけているように錯覚させ身の危険を少年に感じさせるものだった
その様子をハクアは見て笑顔であった
これも一種の試験であることを知っていたからだ
ハクアは歴代その殺気に耐えられず力が抜けた者・逃げ出してしまった者を
しかし、少年は乗り切ったから笑顔であった
でも内心
(まあ、これを乗り越えるのは当然かな。私の威圧感を乗り切ったんだし)
とも思っていたのは内緒である
そうこう思っているうちに老人は竹林の奥へ進んでしまう
そのことにハクアは気づき
少年に声をかけるのであった
「さあ、いくよ!君の修行場に」
竹林は空の二つの月に照らされていた
お久しぶりです⋯受験が少し落ち着いたため一話だけ投稿させていただきました
次回は国公立二次の後となると思いますが読んでいただいている皆様にはご了承お願いいたします
もし面白いと思っていただけると幸いです