母の思いと覚悟
「一つ聞かせて頂いてもいいですか?」
少年はハクアに頭を上げて重々しいトーンの声で聞いた
およそ、ハクアはこの質問の内容は察していた
いや、もっと早く聞かれると思っていた
そして、確認の意味を込めて許可の一言を
「うん、構わないよ」
とかけた
それを聞き少年は悲しみと希望が混ざった複雑な声色で内容を口にする
「この村の人は…私の父や母はどうなったのですか…」
ハクアはその言葉にある
希望そして恐怖を飲み込んで答えなければならない
彼女は頼まれたからである
何をだって?それは…
「その問いの答えは君にここにある」
そして、ある手紙を胸ポケットから出し少年にわたす
その手紙は…
少年はこの手紙の字見た瞬間分かった
「母さんの……字?」
それは母親からの手紙だった
ーーーーーー
~少年がこの村に着く2時間前~
ハクアは空から人間の軍がどのような動きを見せているか監視するために動いていた
その時
ある村を見る事になる
それは惨劇と言っても良かったかもしれない
村の人々はこの森を一種の神聖化をしていた
だから、軍がこの村と森に停留地を作ることに抵抗をした
その結果訪れた結末は軍がその事に腹をたて
村を囲み大砲による一斉射撃を決行した
ハクアは心底そのことにムカついていた
しかし、手を出すそれは魔王達の会議の中で禁じられた行為となってしまう
だから、手を出す事はしなかった
そしてその惨劇は終わる
村は壊滅
そして軍は先に進みここではないところに停留地を構えることにした
そんなとき
そこで少年の母親と出会うことになる
ハクアからしたら気まぐれだっただろう
村に降り立ったとき、息が小さいが生きている人がいることが分かった
その人物に合わなければいけない
なぜかハクアはそう思ったのだ
燃え盛る村
村の家の建物に使われていた木々の燃える音
家が崩れる音
村に地獄が舞い降りたというのが正しい比喩であると、そう思えるほど物悲しげだったのだ
でも、この村に一つ崩れているもののある部屋だけ残っていたレンガの建物があるのだ
そしてその奥から息は聞こえる
月が登り始めた頃
ハクアはここにたどり着いた
そして、そこにいたのは白いベッド上で悲しそうに、そして何かを心配するようにする女性だった
髪は黒色で長く衣服は淡い青の服を来ていた
その女性はハクアに気づくと、このように口を開いた
「あぁ、貴方は軍の方ではないのですね…」
「あぁ、この村は壊滅したと思ったのか軍は先に進んだんだよ」
その女性は慈しむように天を仰ぎ
ハクアの様子をじっくり観察し始めた
「な、なにか?」
ハクアはそのような行為に少し戸惑い動揺してしまう
「失礼を承知でお聞きします、貴方は悪魔王様ですか?」
ハクアの顔や特徴はよく知られていたのだ
だから、女性はわかったのだろう
「正解だ。私こそ悪魔の王ハクアという!」
名前を当てられたのが嬉しいのか楽しそうに名を言う
「やはりそうでしたか。今までいろいろな人物や魔物を見てきましたが貴方の魔力が他とは一線を引くものでしたので。」
女性は苦しそうに、そう口にする
しかし、目は物語っていた。まだ死ねないと
「貴方はまだ死にたくないみたいだね…少し聞かせてくれないかい?」
「えぇ、貴方はこの村は壊滅したと言いましたが、まだこの村は壊滅してないので」
希望と悲しみのこもった言葉だった
そこには覇気を感じさせるものがある
その言葉にハクアは少したじろぐ程であった
そして、女性は続ける
「まだ、希望はあります。私には息子がいるのですが息子は今森にいるのです。あの子は強い子です。出だしはうまく行かなくても自分をいい方向に押し上げることができるそんな子なんです。あの子ならこの村を前の平和な村に戻してくれるでしょう。でも…」
彼女はこのあとに続く言葉を少年を思い出しながら言ったのだろう
頬に一筋の涙が流れていた
「私は、あの子にはこの世でもう会えないでしょう。いろいろ迷惑をかけてしまったかもしれません。そして、これからも迷惑をかけるでしょう。でも、自分の体は自分がよく理解しています。もうこうしているのも辛いのです。」
ハクアは見ていて分かって
呼吸はだんだん弱くなっていることを、そして不治の病にかかっていることに対しても
「すみません…ハクアさん。魔王であるあなたにお願いするのはおかしいと思いますが、あの子の事をお願いできませんか…」
ハクアは驚いた人が魔王に願いを頼むなど、今まで一度もがなかったのだ
でも、冷静にハクアは言った
「悪魔との契約だ、何か対価は支払ってもらうよ」
女性の顔は鮮やかな笑みと嬉し涙ででいっぱいとなった
「喜んで。私にはあなたに魂を差し出すことしかできませんがこの魂があの子のためになると言うなら魂と私のすべてを差し出す所存です」
ハクアは正直呆れていた
息子のために、ここまでするとは流石母親だ
そう思ったのだ
でも、この一人の女性いや
気高き魂には尊敬の念を示さざるをえなかった
だからこそ、
「ああ、契約成立だ。でも、その息子が私のお眼鏡に叶うのが第一ラインになるよ。それでも大丈夫だね?」
「はい、大丈夫です。あの子なら大丈夫ですよ、あの子は強い子ですから」
女性は少年を思い慈しむ笑みでそう口にした
「では、魂をもらう前にしておくことはあるかい?少しなら待つよ」
ハクアは女性に敬意を示し提案した
その提案に女性は手紙を書くことを要求し
ハクアはそれを了承した
その時書いた手紙が少年に渡された手紙である
そして、手紙をハクアに渡し
時間は来た
「思い残す事はないね?魂を私がもらうことでこの契約は成立する」
女性はゆっくりと頷き了承する
「では、いくよ…」
ハクアはゆっくりと女性の胸元に手を置き魂を抜き出そうとする
「ああ、我が息子よ。強く、そして優しく生きてね」
その言葉が言い終わると同時に魂は抜かれる
そして、この村には生存者はいなくなった
一人の希望を残して
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少年は涙を流す
母親の思いを知り病状を知っていたから
そして、母という存在を知っていいたから
少年はその手紙を大事にしまい決意する
そして、惹かれてしまったハクアについていく覚悟を決めるのであった
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『私の親愛なる息子へ
この手紙を読んでいるということはハクアさんに認め貰えたということかな?そうだと嬉しいな!
ごめんなさい、貴方を一人にする事を許してとは思わない。でもね…これからの人生を一生懸命生きてほしい私は貴方を見てるから近くで…
お父さんの事もごめんなさい。私の魔法じゃ救うことができなかった…本当にごめんなさい。
貴方の魂の中で私は見てるから…………だから!頑張れ!私の親愛なる息子!
あと、私とお父さんのところに生まれてきてくれてありがとね!ずっと貴方は私達の誇りよ!愛してる』
至らないところやなかなか、投稿できないと思いますが応援していただければ光栄です!