表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/50

006.辺境の少年ロラン(1)はじめての魔術

 転生して1年、俺はようやく自力で歩けるまでになった。俺が成長したことで今まで一日中付きっきりだった母も少なからず自分の時間を持てるようになり、それに伴って俺自身の私的な時間もわずかながら得られるようになった。


 両親の前で幼児として不自然さが目立つような真似は避けてきたこともあり、俺はまだ魔術を試すには至れていない。なにも出来なかった間、俺はないに等しい魔力でどうにか魔術を扱うことは出来ないかと考えに考えてきたことをやっと実行に移せると内心浮かれていた。

 近くに母がいないことを確認した俺は脳内に魔術のイメージを波形として描き、手を前に突き出して実験魔術【ファイア】の発動を試みた。

 すると直後に直径11㎝の火球が瞬間的に生じる。消費MPは1に満たなかったが問題なく魔術が発動したことで俺の仮説は証明された。

 それを確認するべく俺はステータスウィンドウを開く。


辺境の幼き魔術研究者ロラン

HP:2/4

MP:0/0


 名前に妙な称号が付属してるが気になったが、俺のMPが0.0になったことを示すようにHPが半減していた。

 今回の実験に当たって用意した魔術【ファイア】の構成は以下のようなものだった。


【ファイア】消費MP0.4

魔力比率:火50%・収束50%

魔術威力:2.1

物理干渉:0%

発動時間:0.2s

持続時間:0.44s

移動速度:0m/s(移動方向未指定)

射程距離:7.80m

発動起点:1.95m

魔術規模:0.11m


 移動方向を自身に向けて【ファイア】を放ちHPを0にすることも考えたが、たった0.1とはいえ魔術が貫通してくることを考えると1歳児の身体にどんな影響が出るのかわからなかったので控えた。

 HPにも小数点以下の数値が設定されていれば明後日には5に出来るはず。もし増えなかったならもう少し身体が成長してから危険を覚悟でHPを0にするしかないだろう。そうでもしなければ魔獣は疎か転移者や神の使徒と渡り合うことは不可能でしかない。


 しかし、この世界で流布している一般的な魔術を学べる環境になかったため独自のやり方で術式を構築したけれど、魔術法則通りには発動したので問題なかったということでいいのだろうかとわずかながら不安が残る。

 魔術構成要素は14あるのに魔力そのものは単一でしかなく、どう判別させるのか迷った末に俺は音や光のように魔力を波動として捉えることにした。正確に測定出来るわけでもないので、大雑把に判別出来ればいいと適当にイメージで設定したけれど想定していた通りの魔術要素が当嵌める事が出来ていたようだった。


 それぞれ当嵌めた内容は──


【属性効果】

火:正弦波

風:矩形波

水:三角波

土:のこぎり波


【魔術効果】

収束:波長を短く

停滞:位相速度を遅く

拡散:波長を長く

加速:位相速度を速く


【特殊効果】

増幅:振幅を大きく

短縮:波形を短く


以下は波形の外部添付として扱う。

操作:波形を○で囲う

変化:波形を▽で囲う

追尾:波形を◇で囲う

待機:波形の頭に─を添付


以上の内容と消費MPの数値で振動数を決定した。


 もっとわかりやすく、魔法陣のようなものを考えればいいのかも知れないけれど、そういった心得も基礎知識もない俺には難しかった。

 転移者として異能を行使してときも魔力を用いていたが、想像したことをそのまま形に出来ていたので参考にはならなかった。それでも体内に流れる魔力の感知は今も健在なようで、魔力を扱うこと自体に難儀することはなかった。


 とにもかくにも魔術の発動自体には成功したことを喜んでいると急に意識が遠退き、身体の自由を失った俺はその場にばたりと倒れた。

 どうやらMPが0.0になったのことによる弊害らしい。身体が出来ていない状態で全MPを消費しての初めての魔術行使だったのだから仕方のないことかもしれないと思いながら俺は意識を手放した。




 次に目を覚ましたとき、俺はベッドに寝かされていた。精根尽き果てていた俺はだらしなく口を開けて寝ていたらしく、頰がよだれでべっとりと濡れていた。ベッドの傍には、どこか疲れた様子の母が眠っている。倒れたことでかなり心配をかけてしまったのかもしれない。

 起こすのは忍びない気もしたが、俺は自身の無事を一刻も早く知らせるべきだろうと母の腕をてしてしと叩いて起こす。目を擦る母に向けて声を発する。


「みっみっむー」


 言葉にすらなっていなかったが、今の俺にはこれが限度だった。そんな意味をなさない俺の言葉を耳にした母は頬擦りした後、頰にキスをした。


「ひどい熱を出しちゃってたから一時はどうなることかと思ったけど、目を覚ましてくれてよかったよ。ねぇ、ロラン。あんまりお母さんに心配かけないでね」

「あーうっ」


 理解しているとは思われていないだろうけれど、少しでも心配を軽く出来るならと手をぱたぱたとさせながら返事をした。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブクマ&最新話下部の評価欄などでぽちぽちっと応援していただけるとうれしいです。


小説家になろう 勝手にランキング
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ