第8話:それから…
「はぁ? 何それ」
あたしが事の顛末を話し終えると、なっちゃんは心底呆れた声を出した。
「流石のあたしも呆れたよ」
「で? メールは着たの?」
「まだ」
あのクリスマスから数日がたち、街は師走の準備の人の熱気に溢れていた。
結局、あれから一度も元ちゃんからの連絡は無く、ただ待つしかなかった。
ひたすらパソコンの前で待ち続けて、いい加減キレかけた頃、なっちゃんから呼び出されたのだ。そしていつものカフェで愚痴る事に。
「それにしても何か聞いてなかったの?」
「そりゃあ、次の撮影旅行には行くとは聞いてたよ。でもあんな急に………」
梨佳は考えれば考える程、ネガティブになってしまうのが止められなかった。
「梨佳、あんまり考え過ぎるなー」
夏樹は、いつになく落ち込む梨佳を励ます。
(珍しく、落ち込んでるな。……それにしても友人のピンチにあの馬鹿は何してんだか)
夏樹は、ふと店の時計に目をやると首を傾げる。
(いくらなんでも遅いわ。春は、時間にだけは正確なのに。……これは、もしかして。勘弁してよ、二人は面倒見れない)
夏樹は、嫌な予感に捕らわれつつ、携帯を取り出した。
「梨佳、ちょっと電話してくるから」
夏樹は、店の公衆電話の近くに行くと春に電話をかけた。 しかし、いつもならすぐ出るはずなのに春は、出なかった。とりあえず留守電にメッセージを残すとテーブルに戻ることにした。
「……春ちゃんは?」
「うーん、嫌な予感がする」
夏樹は、眉間に皺を寄せ呟いた。
「あ〜、もしかして……」
「間違いないでしょ」
梨佳と夏樹は、最近の春を思い出し同じことを思った。
(また振られたか)
梨佳と夏樹は同時に軽く嘆息をついた。その時、夏樹の携帯が短く鳴った。
「あっ、春からメールだ。……今日は、予定変更。春の家で飲み」
夏樹は、梨佳にメールを見せて言った。
「そうだね。せっかくだし、朝まで飲もう」
二人は、春の家に向かうべくバッグを手に取ると席を立った。




