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第28話:心配

 梨佳が大学から走り去った後、カフェテリアでは、夏樹と春の密談が続いていた。


 「梨佳ちゃんは、いつそのことを?」

 「最初のメールが届いた頃らしいわ。勇気のお母さんは、最初梨佳のこと知らなかったらしいの。でも、勇気から話を聞いて、連絡を取ったって」

 「でも変わらずメールしてたわよね?」


 春は、少し混乱してくる。


 「勇気達家族は、始めメールの存在は知らなかったらしいの。でも葬儀が終わって遺品を整理している時に、パソコンを開いたの。その時に知ったって」

 「つまり梨佳ちゃんはもうこの世には存在しない人に送り続けてるのね」


 春も夏樹も何故気づいてあげられなかったのか悔やまれる。


 「いつもと変わらない様子だったわ、昨日まで」

 「あの子はいつもそう。悲しくても周囲の人間には気づかれないように泣くの」

 「これからどうするべきなのかしら?」


 私達に話さないということは、まだ熊さんの死を認めてないということ。

 春は、夕べ月明かりの下で見た梨佳の顔を思い出す。もし、あの危うい姿が梨佳の今の姿だとしたら、現実を突きつけるようなことをしていいのだろうか。


 「夏樹? 何してるんだ?」


 重苦しい雰囲気の中、勇気があらわれた。


 「梨佳は?」


 勇気は、キョロキョロと周りを見渡す。


 「梨佳ならいないわ。私と春だけよ?」


 その言葉を聞いて勇気は、不思議そうな顔をする。


 「え? さっきすごい勢いでカフェテリアから出てきたぞ?」

 「嘘でしょう」


 夏樹は顔を青ざめ、春も言葉を失う。


 「どうしよう、勇気。話聞かれちゃったかも」

 「話?」


 突然話を振られた勇気は、首をひねる。


 「昨日、梨佳の様子が変だって春が言ったから春に熊さんの話をしてたの」

 「マジかよ…。最悪だ。夏樹、梨佳に電話」


 夏樹は、携帯を取り出し、梨佳にコールするがつながらない。


 「どうしよう。電話に出ない」


 3人の頭に嫌な考えがよぎる。

 以前の熊さんに会う前の梨佳なら馬鹿な真似はしないだろう。

 それまで梨佳は、失うことを無意識に恐れ恋愛をしようとしなかった。

 でも熊さんに出会い恋をし、梨佳は変わった。人との出会いを大切にして輪を広げられるようになってた。

 それは良い面での変化。でも悪い面での変化があった。

 それは、依存心がより強くなってしまったこと。

 だから夏樹も梨佳は気をつけてみていた。だからこそ、梨佳のメールについて不信に思ったのだ。


 (どうか、馬鹿な真似はしませんように)


 「とりあえず探そう。夏樹と春は梨佳の家に行ってみて。俺は、兄貴のパソコンの予定表とか見て2人が行ってた場所とか調べてみる」

 「待って! ………河原! 2人でよく行ったって聞いた」

 「よし行くぞ」


 3人は、河原へと急いだ。


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