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第19話:迷い

 人は、何かの終わりを受け入れることを恐れる生き物かもしれない。

 だって、私はすごく恐れているもの。この終わりを受け入れてしまったら、私の中で何かが壊れてしまう気がするから。


 でも、その終わりを認めて、受け入れることが出来たら、何か新しい道が始まるのかもしれない。

 でも受け入れたら、変わってしまう。そんなの嫌だ!


 でも、先に進みなさいとあの人は言ってる………………。

 その思いを無駄にしちゃいけないのに、なのに私は開けることが出来ないでいるのだ。

 彼が残してくれた思いと先へ進むための切符が入ったあれを。


 いつになったら答えが出るのだろうか、いつになったら…………。


 「…………り………………か…………梨佳ちゃんってば!!」


 自分を呼ぶ声に我に返った梨佳は、目の前で心配そうな顔した春に気付く。


 「ああ、春ちゃん。どうしたの?」

 「どうしたの?じゃないでしょ。こんな所でボーっと座り込んで。具合でも悪いの?」


 春の指摘通り、梨佳は校舎と校舎をつなぐ通路の階段に座りこんでいたのだ。


 「そんなことないよ。ボーっとしてただけ」

 「本当に?」


 春は梨佳の隣に座り、直も心配そうに見つめている。


 「うん、この頃忙しかったから。寝不足気味でボーっとしてただけだよ?」

 「ならいいけど」


 2人の居る場所は、日差しも差し込む上、風通しもよい場所のせいか意外に過ごしやすい。なので生徒にとって小休憩をとる為の穴場であった。


 「そんなに忙しかったの?」

 「うん。自分の展示用の写真を選んだり、お父さんの写真集用のを選んだり。その上、お父さんの知り合いが個展も開こうって。お母さんの変わりに大忙しだよ」

 「大変ね…………。そんなに忙しいなら、無理かしら」

 「何?」

 「昨日、ポストにこれが入ってたの」


 そう言って、春は一通の封筒を取り出す。

 梨佳は春から受け取り中身を取り出すとそこに入っていたのは芝居のチケットだった。


 「春ちゃん、これってもしかして!」

 「そう、彼からみたい」

 「じゃあ、行かなきゃね!うわー、良かったね」

 「でも、行くかどうか迷ってるの」

 「何で?」

 「怖いのよ」

 「怖い?」

 「うん。のこのこと観に行って、彼から拒絶されたらって」

 「でも、だったらチケットなんて送ってこないよ」

 「…………そうかな。だからね、お願いがあるの。私と一緒に観に行って欲しいの」

 「いいよ。一緒に行こう」

 「ありがとう、梨佳ちゃん」


 梨佳の言葉に春は泣きそうな笑顔を浮かべていた。

 そんな春の手を握り、梨佳は思う。


 どうか、春ちゃんの恋が叶いますようにと。

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