第16話:思いの先は・・・
写真同好会に入会してからあっという間に季節は過ぎていった。
段々とだが自分で撮りたい写真が撮れてきたように思える。まだ納得できる写真の枚数より、納得できない写真のほうが多いけど。
(でもまぁ、こればっかりはね)
今回、撮影した一番の笑顔はやっぱりこれ!笑顔の持ち主は、なっちゃん。
あの後、なっちゃんは、同好会に入会しちゃったんだ。それで、勇気君にもうアタックしました。そしてこの笑顔が生まれたのである。
(ふふっ、幸せそうだなー)
あれから、あたしと元ちゃんの遠距離はあいかわらず。返事もろくに寄越さないんだから。でも、かならず一枚の写真を送ってくれる。
それは、異国の人々の姿や自然、動物の姿だったりその時によるけれど、どれも素敵な写真。
いつか、こんな風な写真が撮れたらいいなと思う。
「よし、頑張るぞ!」
Sub:今週のナイス笑顔
元ちゃん、今回のナイス笑顔の持ち主は、なっちゃんだよ。
なんと、ついに勇気君と付き合うようになったの。
本当、この二人がくっつくのは長かった。
皆で色々画策してやっとだよ。
でも、とってもいい笑顔でしょ?
「送信っと!」
あたしのメールの回数は以前より減ってきた。別に、気持ちが薄れたとかそういうのではなくて。何となく自分の生活を大切にするほうがお互いの関係にも良いじゃないかって思って。
でも、正直この頃分らない。だって返事が来るのは、数通に一通の割合なんだもん。
だから、時々無性に涙がボロボロとあふれてきてただただ、会いたいとだけ思う。
でも、どんなに神さまにお願いしてもこの願いだけは叶わない。叶わないことを知ってしまっているから?
誰か、あたしに答えをくれないだろうか…………。
「ねぇ、勇気」
「何? 深刻な顔して」
二人で出かけた帰り道、夏樹を家まで送り届ける途中、急に切り出された言葉に勇気はつい動揺してしまった。
(何かしたっけ? 別に変なことはしてないよな)
「熊さんのことなんだけどね」
「ああ、兄貴?兄貴がどうかした?」
「いつ帰って来るのかな?」
「そのうち帰ってくるさ」
「だって、そう言ってもう一年たつんだよ?」
「兄貴は気まぐれだからさ。大丈夫、そんな顔しないで」
「…………ならいいんだけど」
そう言って黙ってしまった夏樹の手を取り、二人で歩きながら勇気は思った。
(そろそろ、リミットかな。でも…………、もう少しだけ。もう少し、彼女が自立出来ればいいんだけど)




