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第10話:涙

 「じゃあ、電車動いたから帰るね」


 部屋の床にマグロのごとく転がった春ちゃんとなっちゃんに声をかけてあたしは、部屋を出た。

 

 昨日というか朝まで三人で飲み明かしたせいか、不思議と気分が晴れていた。


 やっぱり、一人で考えても仕方ないことなんだと思う。


 「成るようになれってんだ!」


 バサバサ。

 あたしの突然の叫び声に道端のカラスが飛んでいった。

 朝ご飯の邪魔をしてしまったらしい。


 (いけない、いけない。これじゃあ、変な人だ。早く帰ろ)


 早朝の電車は、人がいない。元々、人口密度が高い所が嫌いなあたしにとっては、嬉しいかぎりだ。

 ゆるやかに電車が走りだす。

 ゆらゆらと体がゆられるとだんだんと眠気が襲ってきた。


 (まずい、今寝たら起きられない)


 あたしは、視線を窓の外へと向けた。

 ちょうど目に入ったのが二人でよく歩いた河川敷だった。


 「何で、こんな時に」 


 その瞬間、パラパラと涙が零れ落ちてきた。

 一度出始めた涙は、一向に止まる気配がなかった。

 そう、あらためて元ちゃんが本当にいないのだと、あたしは一人なんだと今さらながら認識しはじめたのだ。


 それにこれは、元ちゃんがいなくなって初めて流した涙だ。だから、この際思い切り泣いてしまおう。みっともなくたっていい、あたしは、悲しいし淋しいんだから。


 そして、待とう。元ちゃんが、ただいまとあの優しい笑顔で言ってくれる日を。

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