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死
とある地方で起きた実話をモデルにしています。
私の学校の一つ上の学年で起きた自殺事件です。
母は夕飯の買い物を済ませ帰宅した。ふとその文字は母の目に映った。
『決して開けないでください』。張り紙が長男の部屋戸に張ってあった。
彼女は何の思慮もなしにその戸を開けた。
しばらくして次男が家に戻ると・・・・母と兄は死んでいた。
私は友人とその母の御通夜から帰る途中、思うことがあった。
『彼は本当に死ななくては、自殺しなくてはならなかったのか』
物語ならば、総じてこの問への答えは『否』であろうが、
私はむしろ『これでよかったのではないか』とさえ思えたのである。