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はじめまして。作者です。
この作品が初投稿となります。読み辛い点や言い回し、誤字脱字等見受けられると思います。そこは目を瞑って頂くかご指摘頂ければ唄って踊って喜びます。
ワアァァァ――――
割れんばかりの歓声、溢れんばかりの喝采、天まで届くが如く鳴り響く足を踏み鳴らす音。
周囲には円形に広がる階段状の席に、所狭しと密集している人、人、人。老若男女関係なく、在る青年は飲み物を片手に、ある子供は菓子のようなものを両手で、ある老夫婦は顔を見合わせ二人で会話をしながらに。
「さぁ、今年も開催が決定されました!早いもので、あれよあれよと第5回!ご覧ください!今皆様方の目の前に現れたのが、今年のこの宴の選手たちでございます!どうか皆様!盛大な拍手と共にこの者達を歓迎いたしましょう!」
そんなアナウンサーらしき女性の言葉に、より一層辺りの喧騒は音量を増す。手を打ち合わせて、声の限りに、時には体を思う存分駆使してその言葉に答えようと。その反応に、アナウンサーらしき女性も「ありがとうございます!ありがとうございます!」と、その喧騒に呑まれまいと声を張り上げて答える。
それに対し、そんな歓迎を其の身に受けている『選手』達の大半は、明らかに困惑し、放心していた。
ある青年は視線を周囲に向けながら、ある少女は震えながらその場にうずくまり、ある老人はその少女を可愛そうに思ってか、肩を擦ってあげ、ある少年は今にも泣き出しそうにし、ある女性はそれでも気丈に振舞おうと腕を組みながら仁王立ちし、ある中年男性は不機嫌を隠そうともせずに喚き立て――
そして僕はそんな中で放心しながらただ聞こえてくる喧騒に反応もできず、ただひたすらに突っ立っていた。視線も定まらず、口も半開きのままに、あまりの急展開に着いていけずに。そして思う。
『どうしてこうなった』
お盆を跨ぐ大型連休が始まり、今年就職したばかりの僕はそれほど久しぶりでもない実家に帰省するべく愛車のバイクに乗って渋滞の予想される高速を避け、国道をメインに只管走った。とはいえ、それでも渋滞が無い訳ではない。距離的にも、信号での停止などもあり、帰省にかかる時間は多くなる。その上土産物の一つでもと途中寄り道も繰り返すために、なお更に実家に辿り着く時間は遅れる。
「まぁ、たまにはこんな感じで走るのもいいわな」
それでも一日で辿り付けるだろうという僕の予想も虚しく、途中で宿を取っての帰省となった。翌朝早くに宿を出て、これ以上土産も要らないと、寄り道することなく帰途に着いたが、それでも実家にたどり着いたのは昼過ぎという時間になった。
「ただいまー」
という久しぶりの実家でのあいさつも、疲れからかやる気のかけらも無い消え入りそうな声。そんな息子を見た両親は、久しぶりに帰省した息子が、就職先でなにか問題でもあって暗いのでは?と心配しはじめていた。それに対してどこか投げやりな感じではあるが、ただの渋滞疲れだと説明して、僕は自分の部屋へと重い足取りで歩き始める。
自分の部屋に辿りつくと、不思議な開放感を感じた。久しぶりでは在るが、やはり自分の部屋のというのは落ち着くものなのだろう。手に持っていたヘルメットをソファに放り投げ、服を脱ぐのも億劫に、そのままベッドに倒れこんだ。
このときの僕はかなり疲れていたんだと思う。いや、思うどころではなく、実際かなり疲れていた。でなければ、その違和感に気がついた時にはもう少し警戒をしてもよかったんだと思う。
ベッドに倒れこむその時に、布団の上には何か奇妙な丸い模様が描かれていたのだ。それが疲労から来る目の錯覚という可能性もあったかもしれない。けど、実際にこの様な状況になっている以上、あれが全ての始まりだと、断言できる。
そう、その時ベッドに倒れこんだ僕は、それと同時に意識を失った。そう、倒れたと『同時』にだ。
あぁ、神様。もしこの状況をご覧になられてるのでしたら、どうか私の前へ、その御姿を現して頂きたい。
思いっきりぶん殴ってやるから