幕間その1 似ている子
明香里先輩視点の幕間です。
二日前、部室でこの半年くらいで陽ちゃんの身に何があったのかを、本人とカケルっちが全部話してくれた。最初こそ“そんなまさか”って思ったんだけど、二ヶ月前の旅行で陽ちゃんの身体症状について聞いていたから、段々納得できたって感じかな。代償の話は深刻で、冗談抜きで洒落にならないものだった。でも、不謹慎かもしれないけど少し嬉しくもあったんだ。あの時、陽ちゃんは“原因は言えない”って言っていた。カケルっちが後押しをしたんだろうけど、私にも言ってくれるようになれたんだね。それって、前よりも私のことを信頼してくれたってことだよね?言っても私なら受け入れてくれるって。もちろんその通りだし、これは私の直感だけれども、このタイミングで私に話すってことは、陽ちゃんは運命を受け入れるんじゃなくて、“抗おうとしている”んだと思う。当の本人がその覚悟を決めたんなら、私もそれに恥じない働きをしなくっちゃね!
「まぁでも、それにしたってまさか私のオカルト趣味がこんな所で活きてくるとはね〜。大学に入る前までは散々周囲から根暗とか、趣味悪いって言われ続けてきたけど、人生何が必要になるかわからないものだな〜。」
そう独りごちながら私は今市民図書館に向かっていた。カケルっちに似たような話を知らないかと聞かれた時に、真っ先に思い浮かんだのが市民図書館だったからだ。以前陽ちゃんに話した悪魔の力について書かれた本もそこで見つけて読んだし、確か何冊か似たようなタイトルの本があったと思う。それにしても、何であそこの市民図書館はそういう本を何冊も置いていたんだろう?司書さんの趣味なのかな?だったら今度司書さんと機会があったらお話してみたいな。そんなことを考えながら歩いていたら、曲がり角から出てきた人とぶつかってしまった。
「きゃっ!」
「おっとっと、ゴメンね!大丈夫?怪我してない?」
やってしまったと思って、咄嗟に尻もちを着いてしまった子に手を差し伸べる。童顔だし小柄な子だから中学生くらいかなって思ったけど、もしかしたら高校生くらいかもしれない。
「ぁっ………………そ、その………………大丈夫です!すみません…………わ、わわ私はこれで………………し、失礼します!」
若干涙目で吃りながら謝罪したその子は、自力で立ち上がり早足で歩き去ってしまった。私は手を差し伸べたままその子が去っていった方をポカンと見つめる。なんか警戒心の強い仔猫みたいな子だったけど、どことなく顔の雰囲気とかが陽ちゃんに似ていたような気がする。そういえば、妹ちゃんが週末に来るって言ってたけど…………まさかね?このままここにいても仕方が無いし、私も本来の目的地に向かうことにした。




