幕間その3 もしかして……
明香里先輩視点の幕間です。
霞荘に荷物を預けた私たちは、チェックインの時間まで周囲を観光することにした。なんと言っても、ここは観光地だしね!今だいたい13:00ちょっと過ぎで、チェックインは15:00からだ。ここまで来るのに何も食べていないことに気がついた私たちは、せっかくだから少し遅めの昼食を取ることにした。ただ、あまり食べすぎても夕飯が食べられなくなっちゃうし……ムムム、さてさてどうしたものか。
「先輩、こことかどうです?ちょうどここから歩いて10分くらいみたいです。」
悩んでいるうちに陽ちゃんがお店を調べてくれたのか、スマホの画面を見せてくれる。画面には甘味処と書かれてた。
「前和菓子が好きって言ってましたよね?ここの名物に焼団子セットっていうのがあって、小さな七輪で団子を焼きながら食べれるみたいですよ?」
「えぇ〜何それ!スッゴイ素敵じゃん!そこに行ってみようよ〜!」
こうやって私の好みを覚えてくれててお店を探してくれるとか、陽ちゃんそういうところだよ!そうやって、さり気ない気配りをしてくれるところが大好き!
「じゃあ早速しゅっぱ〜つ!」
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「んん〜!焼きたてのお団子美味しい〜!ほっぺ落ちちゃいそう!」
甘味処に着いて、私は陽ちゃんオススメの焼団子セットを注文した。なんと言っても自分で焼き加減を調整できるのが最高すぎる。焼いた後は餡子とみたらしが用意されていて、好きなほうを付けて食べることができる。まず私はシンプルに餡子を付けて食べてみたが餡子自体も美味しい。これはみたらしも期待できるね。
「そんなに喜んでくれるなら、僕も見つけたかいがありますね。」
そう言いながら優しく微笑んでいる陽ちゃんは、注文した宇治金時を食べていた。宇治金時もそんなに美味しいのか、結構なハイペースで食べている。頭キーンってしないのかな?
「陽ちゃん、そんなに慌てなくても宇治金時は逃げないよ?それに、 あんまり急いで食べて頭がキーンってしても知らないよ〜?」
「え?…………あっ、あぁ!そ、そうですよね?外暑かったから、身体を冷やしたくてついついガッツいちゃいました。」
ははは〜と笑う彼だが、私は彼の反応に少し違和感があった。何で“言われて思い出した”みたいな反応をしたんだろう?
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甘味処を出てから、しばらく観光地の散策を続けており、気がついたらチェックインの時間になっていた。私たちは慌てて旅館に戻り、チェックインの手続きを済ませた。そして、観光中もやっぱり陽ちゃんに対する違和感が私の中であった。何度か疲労によって転けそうになった私が、壁とかにぶつからないよう彼が咄嗟に庇ってくれたりした。だけど、明らかに鈍い音がしたり、頭を強めに打っても全く痛がる素振りを見せないのだ。この時点で私の中では陽ちゃんに対する違和感はほぼ確信に近いものになっていた。
チェックインを済ませた私たちは、通された部屋(相部屋なことは黙っていたから、陽ちゃんは今まで見たことがないくらい動揺してて可愛かった。ちなみに、私も内心大胆なことしすぎたと今更ながら心臓がバクバクしてきた。)で美味しい夕飯を食べて、大浴場に入って早めに寝ることにした。布団が隣合っているのは、カップル割で予約をとってたから仕方ないよね。うん、仕方ない。陽ちゃんと隣合って寝ることに対するドキドキと、寝息が聞こえないから、多分まだ寝ていない彼に今から聞くことに対するドキドキで心臓がうるさい。多分、これを聞かなければ明日も楽しく二人で過ごすことができるんだろうね。でも、カケルっちに言われたとおり、彼の心を本気で救うのならば、絶対に聞かなくてはいけないことだから。私は意を決して、私に背中を向けて寝ている陽ちゃんに話しかけた。
「ねぇ、陽ちゃんまだ起きてる?」




