第2章 衝撃
ある朝、いつものように何も考えないように過ごしていると、突然先輩からRAINがきた。まぁ先輩が突然なのはいつものことだけど。
『陽ちゃん見て!私車の免許取れたよ!せっかくだし、ドライブがてら2泊3日くらいの旅行に行かない?運転はお姉さんにまかせて!』
そういえば、夏休みだしちょうどいいから車の免許合宿に行ってくるって言ってたな。あれからあまり時間が経ってないはずだけど、先輩無事に免許取れたんだな。
『おめでとうございます。旅行いいですね!もちろん、僕が先輩の誘いを断るわけないじゃないですか!車はレンタカーです?費用は僕も出しますよ。』
『ありがとう。でも車はパパのお下がりを貰ったから大丈夫!ここはお姉さんにどんと任せなさい!』
そうか、先輩は既に自分の車を持ってるのか。それならお言葉に甘えることにしようかな。
『じゃあお言葉に甘えることにします。めっちゃ楽しみにしてますね!』
その後、集合場所と時間を教えてもらってから、先輩とのやり取りは一旦終了した。旅行か…………確かにこれで気分転換できたらいいかもしれない。それにしても、先輩はどんな車に乗って来るのかな?先輩のイメージで考えるなら、4~5人乗りのコンパクトカーあたりな気もする。多分翔にも声をかけているだろうし、それなら大人3人と人数分の荷物が十分に詰めるだろう。
結果的に、僕の予想は大きく外れることになり、セレクターの代償のことで頭がいっぱいだった僕の悩みが、全部吹き飛ぶほどの衝撃的な展開が待っていた。
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2日後、約束の日の10:30。いつもの駅にある駐車場が指定場所にされていたから、僕は2泊分の荷物が入った旅行カバンを手に、先輩の姿を探していた。
「えーっと、確かこの辺って言ってたよな………。」
「あっ、いたいた!陽ちゃ〜ん、こっちこっち〜!」
先輩の声がした方を振り向く。そこには、完全に僕の予想とかけ離れた光景があった。
先輩は今日は髪の毛を後ろで纏めポニーテールにしており、チャームポイントであるクマのある目はサングラスで隠されている。服装も黒いキャミソールに白いYシャツを羽織って裾をへその辺りで軽く縛っており、下はジーンズとスニーカーという、いかにも運転のしやすそうな格好をしている。普段と違ってカジュアルな見た目をしている以外は、いつものかわいい先輩だったのだが、問題はこれから僕も乗るであろう後ろの車である。僕の予想は裏切られ、まさかの真っ赤なスポーツカーだった。それも30年くらい前のやつ。ただ、古い車の割にはピカピカで輝いていた。適度にカスタムもされており、走りに特化しているのだろうなというのが素人でもわかる。これをお下がりで娘にあげる先輩のお父さんもすごいな。
「へっへ〜ん。ジャーン!」
「先輩、めちゃくちゃかっこいいですね!ところで、この車二人乗りだと思うんですけど、翔はどうするんですか?もしかしてアイツは別の手段で合流ですか?」
「ん?カケルっちはいないよ?今回は私と陽ちゃんの2人っきりの旅行だもん!」
…………今なんと?フタリッキリ?先輩と僕の2人っきり?そんなことが許されていいのか?なんか最近の悩みとか、鬱々とした気分が全部吹っ飛ぶレベルの衝撃がまとめてきたような気がする。
「さっ、とりあえず行こっか!乗って乗って〜♪」
一つ確かなことは、先輩と二人っきりということは、僕の理性が最大限に試されていることだけはわかった。それだけじゃなく、代償がバレないようにもしないと……。
ちなみに、明香里先輩の車は完全に私の趣味です。




