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可能性の選択  作者: 桃鍋
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第1幕 プロローグ

初投稿です。

 それはなんてことのない、いつもの大学での日常だった。

「え、現代物理学概論のレポートって今日までだったっけ?」

「陽太……お前また忘れてたんだな。さすがに今回ばかりは写させねぇぞ。この前教授にバレて俺まで怒られたんだからな。」

 友人のかけるに言われるまですっかり課題のレポートのことを忘れていた。確か今回のレポートを提出しなかったら、そもそも試験すら受けられなくなって自動的に単位を落とすことになるって教授が言っていたような気がする。

「はぁ……。まぁ、幸いなことに今日の23:59までに教授の作った受付フォーラムに送れば大丈夫みたいだから、精々頑張りな。」

「な〜んだ、だったら余裕っしょ。」

「…………ちなみに、なんとなく想像つくけど進捗率は?」

「1文字も書いておりませんが、なにか?」

「…………お前本当に大丈夫なんだろうな?」

「大丈夫、大丈夫。翔は心配性だな〜。じゃっ、早速取り掛かるから今日はもう帰るわ!」

「おう、じゃあな。」

 そう言って僕はキャンパスからの帰路についた。

――――――――――――――――――――――――

 そんなやり取りをしていたのが今日の夕方、時計を見ると時刻は0:10、レポートは変わらず真っ白のままだ。うん、確かにこの講義は必修だけども、来年また取り直せばいいでしょ。そう思うことにしよう。そうさせてください。

「気持ちを切り替えて、いつものコンビニに夜食でも買いに行こうかな。」

 そう独り言を言った後、財布を持って行きつけのコンビニに向かった。せっかくだからこんな時は酒でも飲んで忘れよう。最近20歳になってお酒を飲めるようになってから、意外にも自分が酒に強いことが発覚し、以来少し強めの缶ハイボールとツマミをいただくことにハマっていた。

 現実に目を背けながらコンビニに向かい、いつもの缶ハイボールとツマミを買って帰路に着いていた時、特に意味もなく右側を向くと、路地裏の方で奇妙なものを見てしまった。あれは何だ?空間にポッカリ穴が空いているような……。普通なら関わらないようにするんだろうけど、生憎と真っ白のレポートと激闘を繰り広げていた僕の頭は正常な判断能力が鈍っており、好奇心には抗えず奇妙な穴に近づいていった。穴まで残り数メートルってところで背筋に悪寒が走り、耐え難いほど強烈な頭痛に襲われた。

「っ!なん……何だこれ!?」

 痛い、何も考えられないくらいとにかく頭が痛い。まるで脳そのものを直接書き換えられているような不快感。立っていられなくなりその場に膝をつく。

「……ダメだ……意……識…………が…………。」

 僕はその場に倒れ込み、気を失った。

――――――――――――――――――――――――

 目が覚めた時、奇妙な穴は消えていた。念の為、どれくらい気を失っていたのか、時計を確認するとほんの15分程度だった。

「一体なんだったんだ……って、うん?」

 それは奇妙な感覚だった。目に見えてるわけではないのに、選択肢の書かれたボードが頭の中に直接出されているような、そんな感じ。ボードには2つの選択肢が書かれていた。


『以下の選択をし、結末を変えますか?

 A.レポートを提出済みの世界

 B.レポートを出さなかった世界』


「……何だこれ?選択?結末?とりあえずどっちかを選べばいいのか?」

 そりゃどうせなら提出済みの世界の方がいいよなぁ〜、だって来年また単位取り直すのもめんどくさいし……なんて思った次の瞬間、世界が一瞬歪んだように感じた。

「うわっ!?」

 歪みが戻っても目の前の景色は特に変わらない。強いていうならキーンと耳鳴りがするくらいだろうか。

「一体なんだったんだ?」

 訳がわからず頭を押さえることしかできなかったが、とりあえずアパートに帰ろうと思い、早足で帰路についた。

 そう、この時の選択こそが僕の物語の始まりであり、沢山の人を助けることができた物語の始まり。同時に、悲劇の始まりでもあった。

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