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【完結済】伯爵令嬢は初夜で偽装結婚宣言される ~旦那様あなたなんて大嫌いです~  作者: 米野雪子


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領地へ引っ越し



「領地に、引っ越す?」


「はい。もう邸も完成しましたし、

 不毛の地とは呼べないほど住むには不便のない環境になりました。

 領主として身をおきたいのです」


「なぜ?今回のことが関係あるのか?今後はもうあんなことは起こらない。

 彼女は厳格な修道院に行ったし、公爵家も…」


「まだ噂を信じている人達もいますし、少し社交から距離をおきたいのです。

 それに私自身も、一人になって少し平穏な環境で、心を落ち着けたいのです。

 資産も不自由はありませんし、ご迷惑はおかけしません。

 暮らす場所はお互い離れますが、もともとそんなに旦那様とは

 交流がありませんでしたし、問題はないかと…」


「私が……嫌いか?」


「どちらでもありません」


「そう、か……あの男…フォスナー男爵と暮らすのか?」


「フォスナー先生ですか?なぜですか?」


「彼と仲が良く見えた」


「無料教室の教師の一人としての付き合いですわ。それ以外何もありません」


「…そうか、わかった。そうだな…君には静養が必要だ」


「では、来週から準備を始めます」


「時々、様子を見に行っても?」


「なぜでしょうか?」


「……心配、だからだ」


「先触れをください。私も小さい土地とはいえ、

 領主としての仕事の都合もありますので」


「分かった。何か手伝うことがあれば…」


「ロージー商会にお願いしてありますので、ご心配なく」



一週間後、彼女は侯爵邸から姿を消した。

邸の中は酷く広くガランとして感じる。


彼女の領地邸には、護衛騎士も侍女も同行させているし、大丈夫だろう。


そうだ、交流は元々なかった。


だが、いつの間にか毎朝彼女との朝食が楽しみになっていた。

彼女の領地経営の活躍を聞くたび感心し、嬉しくて仕方なかった。

私は…なぜ、こうなるまで気付かなかったのか。

こんなにも彼女の存在が、自分の中でこんなに大きくなっていたことを。


このソワソワとした落ち着かない、心の隙間ができたような感覚。

気がつくと彼女の顔ばかり思い浮かべている。


そういえば、彼女の笑った顔を一度も見ないままだった。



「旦那様…インクが…」


「ん?ああ、すまない。滲んでしまった」


「代わりの物をすぐご用意します。…お疲れでは?」


「いや、大丈夫だっ…あ…」



手にインク瓶が当たり、そのままインク液がドバッと机に広がる。

慌てて側にある書類を拾い上げた。



「…インク瓶もお持ちしますね。掃除は私がやりますので、そのままで」


「す、すまない」


「少し休憩なさってはどうですか?メイドにお茶を運ばせます」


「ああ、そうだな。頼む…」



何をやっているんだ私は…


そして、お茶休憩していると家令にマーガレットに会いに行くよう提案され、

彼女が邸から出て行って1ヶ月しか経っていないというのに…と思いつつ、

私は先触れの手紙をすぐ書いていた。




* * * * * * *




「マーガレット様、見てください。立派に育っています」


「お疲れ様。まあ、凄い!立派なトービだわ」


「問題なく育ってます。来月には収穫できそうですね!」


「そうね、楽しみだわ。みんなビックリするわよ。

 ブラウン一家が第一人者よ」


「私たちは、マーガレット様の指示通り、育てて管理しただけです。

 第一人者なんて恐れ多いです」


「だいいちにん、しゃってなぁに?ママ」


「トービを最初に育てた偉い人ってことよ、ティティ」


「えらいひとっ!」


「そう、偉い人なの」


「パパとママすごーいっ!」


「もー違うわよ、あははははっ」


「おーい、休憩するかー?」


「はーい、あなたマーガレット様がいらっしゃってるわ」


「おお、領主様。良かったらお昼をご一緒にどうですか?」


「ええ、喜んでいただきます」


「わーい、今日ね牛乳のクリームスープなんだよ!」


「まあ、楽しみね!」




* * * * * * *




「奥様、お手紙が届いています。旦那様からです」


「え?ええ。ありがとう」


「午後からの予定は、ロージー商会長がいらっしゃいます」


「そうだったわね。じゃあ、着替えるわ」



旦那様からの手紙は、来週訪問したいとの先触れだった。

まだ1ヶ月しか経っていないのに…


まあ、トービの収穫もするし、出来栄えも見る事もできるし、

丁度いいかしら…砂糖にする工程も見て欲しいものね。




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