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【完結済】伯爵令嬢は初夜で偽装結婚宣言される ~旦那様あなたなんて大嫌いです~  作者: 米野雪子


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18/20

キャリーの懺悔




「すまない、マーガレット遅くなっ…」


「旦那様…」


「…眠って、しまったのか?」


「はい、お疲れなのでしょう…」


馬車に乗り込むと、彼女は寝息を立てて座ったまま目を閉じていた。

30分位待たせてしまった。申し訳ないことをしてしまった。


「そうだな…当事者だったからな。

 相当、疲弊しているのだろう…本当に迷惑をかけてしまった…」


「ラディアナ公爵令嬢のご様子は…」


「あれは、もう駄目だ。取り返しのつかない過ちを…いや、過ちではないな。

 意図的にマーガレットを貶めて、彼女の人生を壊そうとした。

 私の妻という事実だけで…こんな目に合わせてしまった…

 公爵家とは示談はしない。上に報告する。後日、沙汰が下されるだろう」


「そう、ですか…お疲れ様でした。

 まだ、終わっていませんが、とりあえず、ひと段落ですね」


「ああ。マーガレットの名誉回復の為に、私も尽力しよう…」




* * * * * * *




「ごめんなさい、ごめんなさい…ごめんなさっ…」


目の前で俯き泣きじゃくる少女。

小さな体を更に小さくして、肩を震わせている。

怯えきって今にも消えそうな存在をそっと抱き締める。

ビクッと震え、体を硬くして泣き続ける、小さな背中をずっと撫でる。

落ち着くまで、小さな温もりを包み込んだ。


「お母様は、大丈夫。最高の医療環境で治療を受けて、

 必ず元気に帰ってくるわ、キャリー」


「…ほん、と?」


「ええ、だからもう、何も心配しなくていいわ。

 もう、嘘をつかなくていいの」


公爵が今回の賠償の中に、母親の治療完治を含めてくれた。

加えてこの家族にも、迷惑料として慰謝料が払われる。

私たち侯爵家にも賠償金と慰謝料が支払われ、

見送りになった取引先への説明責任と支援金、名誉回復への働きかけ。

結構な金額と労力になるが、娘の醜聞と世間体を隠す為なら、

王族の次に資産を持っている公爵家なら、安いものなのだろう。


「…うっ、ううううっ…でも、でもっ私、嘘をつきましたっ…

 そ、そのせいでっ…何も悪くないっ!優しいマーガレット先生をっ…

 わああああああっ‼︎」


「解決したから大丈夫。あなたに嘘を強要した、悪い大人も捕まったわ。

 もう、怯えなくていいの。あなたは被害者なのよ」


「でも…私は、私は、まだっ…罪を償ってませんっ‼︎

 マーガレット先生だって…あの嘘のせいで…誤解されたままだしっ!

 ど、どう償えば…私っ…」


「そうね。もう少し落ち着いたら、償いについては話し合いましょうか?」


「なんでもします!私、どんな罰でも受けます‼︎」


「じゃあ、約束して。

 今度から何か困った事が会ったら、自分一人で悩まないで、

 必ず先生や司祭様に相談すること。私たちが出来る限り力になるわ。

 だから、どんなにいい条件でも、知らない人や、

 何か怪しい交換条件で取引してくるような人は、絶対に信じてはダメ。

 おかしいと思ったら、絶対に相談して。分かった?」


「はい…今回のことで良く分かりました。

 私が、浅はかでした…」


「それだけお母様が大切だったのだから仕方ないわ。

 あなたはまだ人生経験の無い子供だもの。

 そのあなたの弱みに、相手は親切なフリしてつけ込んできたのよ。

 本当に酷い人達だわ」


「あの人たちは、マーガレット先生を貶めて…何がしたかったんですか?」


「そうね。簡単に言うと、先生の旦那様が好きで私が邪魔だったの。

 それで評判を落とそうとしたの。内緒よ?」


「そんな、卑怯なこと…」


「そうね。卑怯者だわ。

 だからもう、あんな人たちの為に心を痛めないで頂戴」


「私、でも、まだ償ってません。…加担してしまいました。罪は罪です…」


「そうね。あなたの気がすまないのなら、教会でボランティアでもどう?」


「ボランティアですか?」


「そう。司祭様とも話し合って、教会のお手伝いしてくれる?」


「はい!」


この子の人生は、まだ始まったばかりだ。

賢くて優しい子だし、こんな1度の出来事で潰れて欲しくない。

とりあえず当分この子の精神的なフォローをしなくては。

そして私も、自分の身の振り方を決心した。



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