6話:お酒の飲みすぎには、要注意?(後編)
火曜日の朝は毎回早い。それは学生という身分ではあるものの、
[生活が辛いなんて思いはしたくない。]そう考えるからなんだ。
可能な限り計算して、前もって、スケジュールを立てて、バイトを入れる。
火曜日は早朝のバイト牛乳配達がある。
-現在時刻3時-
〈アラームが鳴る。〉
肇「んっ!ん~ん…。もう時間…。さすがにしんどい…。これっ!
1回ちゃんと伝えないと体がもたなくなっちゃうよ…。」
さすがに、幽霊さん達もあれだけ、どんちゃん騒ぎをすれば眠っている?満足して活動が止まっているのかすごく静かだ。
肇「最悪な起床ではあるけど、逆にこんな落ち着いた起床も数日ぶりな気がする…。」
そうして、僕は朝のルーティンを済ませ、家を後にした。
そうそう。このマンションはオートロック非対応マンションなんだけど、
僕の部屋は、家を出れば自動でロックがかかる、つまりは異常なんです。
肇「勝手に鍵が閉まることが便利だから気にしてなかったけど、
本来は怖がるべきだよね。きっと…こんな非日常的な症状が間近で起きてるんだから…」
そう…。頭では理解をしていても、それを上回る非日常を目にすれば…。みなさんもきっと。
そうこうしているとあっという間にバイト先に着き、僕は指定されたルートの宅配を行う。
いつも以上に少ない睡眠時間で最初はきついと感じていたけれど、朝日を見るなり、その光景に
心が救われ、目が冴えたのだった。
牛乳屋「いつもすまないね。俺の代わりに通常1ルートのところを俺の分まで…。」
肇「何言ってるんですか!!もうそんなに気を遣うのはやめてください。
困ったときはお互い様ですよ。」
牛乳屋「そう言ってくれると…心が救われるね。これ、見飽きてるかもしれないけど
うちの牛乳とコーヒー牛乳飲んでくれ!」
肇「はい。僕、ここの牛乳好きなんで本当にうれしいです。ありがたくもらっていきます。」
そしてバイト先を後にした。
時計を見ると、時刻は6時30分。携帯のスケジュール表を見て今日の予定を確認する。
肇「今日の次の予定は…と。【8時15分からPCのデータ入力の仕事を13時まで】
そっか!これ今日だったんだ。じゃ、とりあえずオフィス近くのGGバーガーで
時間つぶしだ。ん?急いだらちょっと寝れるじゃん!」
そう言って足早にGGバーガーへ行き、注文をすませ、少し仮眠をとった。
-8時10分-
肇「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」
オフィス内の関係者の方に挨拶をし、言われた入力を淡々とこなす。
寝不足ということもあり、いつも以上に最新の注意を払いながら行った。
社員さん「川瀬君 お疲れ!今日もばっちりだよ。よかったらうちの会社に来ないか?
君ならいつでも喜んで迎え入れるからさ。」
肇「よかったです。今日は少し自信がなかったので…。
その話はまた卒業のタイミングでも相談させていただきますね。」
簡単な社交辞令を済ませ、大学へ向かうため、オフィスの廊下を歩いていると
「ちょっとそこの君止まりな!!」
その女性は血相を変えて、僕の上でつかむ。
「君 最近身の回りでおかしなことは、起きてないかい?」
{はい…。びっくりするほどめちゃくちゃ起きてます。
もうどっちが日常か僕もわかりません!!}
「ちょっと君聞いてるのかい?」
肇「そんなこと言われても…。あなた誰ですか?それにどうしてそう思うんでしょうか?」
そういうとその人も冷静さを取り戻し、一呼吸おいて話し始める。
「すまない。順序が確かにおかしかったね。
私は強いて言うなれば、霊媒師と呼ばれるものだよ。 名は、夕凪紫苑。
君に不穏な影が見えるとかではなくて、むしろその逆で見えないんだ。守護霊が!!
こんなことは初めてなんだ。だから聞いているんだよ?」
{そりゃ見えないと思いますよ。はい。だって今、家で酔っ払って寝てますから。ははは。}
肇「特に変わったことは…。すいません。大学に送れるので失礼します。」
まだ何かを伝えたかったのだろう。だけど僕は、半ば強引にその場を後にした。
この時、僕は、家以外の場所で起きる当たり前の日常を、非日常に変えたくない。
そんな考えが頭によぎって、なぜか断ってしまった。
気が付けば大学の講義も終わり、16時になっていた。
この時には、さっきの霊媒師の事と昨日2時間しか寝れていないということもあり、
どこかイライラしている自分に気づいた僕は、そのまま家に帰らずに
ネットカフェに寄って仮眠をとることにした。
ふと携帯を見ると、新着ラインが入っていた。
【新妹さん:今週の日曜日。以前言っていたディナーに行くのどうですか?】
日曜日は特に予定もなかったため、OKの連絡を返して、ネットカフェへ。
おかげで僕はネットカフェを出るころには4時間の睡眠をとれて
気分が良好になっていた。
買い物を済ませ 家に帰ると…。
{ガチャっ}
肇「ただいま。」
すると、リビングの方から小学校3年生くらいの子供がこっちへ向かってくる。
「パパお帰り~。お仕事お疲れ様!!ママと一緒に待ってたよ?」
肇「えっ…。 きみ誰かな?」
カンナ「あなたお帰り♡ 遅かったね~♡
ユズハ お父さんが帰ってきましたよ~♡」
その手には生まれたての赤ちゃんが抱かれていた。
肇「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
いやいやいやいやいや…。身に覚えがなさすぎる~。」
カンナ「肇くん ひどい!! 身に覚えがないなんて…。
昨日の夜あんなに愛し合ったのに…。」
この時、僕は初めて技を覚える感覚を身に感じた!
発動!!【虚無】
{いや…。この人何を言ってるんでしょう…。仮に愛し合ったとして
24時間以内に出産? もう一人は小学生…。どんな構造してるんでしょう…。}
子供「パパどうしてそんなこと言うの?
そんなこと言ったらママ悲しいに決まってるじゃん!!
悪いこと言ったらごめんなさいだよ。」
{うん!だから君だれ~。そんな成長した子供僕にはいません!!
そして、カンナさんに昨晩したのはただのマッサージ!
マッサージで子供ができてたまるかーー!ボケがぁぁ}
心の中の僕が頭のネジが取れて猛烈に口が悪くなっていた。
婆「こらっ 肇! こどもの前でそんな汚い言葉を吐くんじゃないわい。
わしの孫が汚い言葉を話したらどーするんじゃ!
【親たるもの丁寧に言葉を意識すべし】じゃ」
{あなたと僕はいつから血縁関係があったんでしょうか。
婆様が母親ってことも僕今知ったんだけど…。
あ~ どうしよ。過去一脳内処理が追いつかないよ?
今、流行りの領域展開でもされたのかな?僕 どうしたらいい?}
玄関じゃ収集がつかない為、僕は半ば強引にリビングに入ると
爺様も ポチも キンタも 元さんも全員 赤ちゃんを抱いていたり
小学生と手を繋いでいる光景が目に入る。そして-
爺「よかったの~。みんなパパが返ってきたぞ?」
「おかえりーパパ 帰ってくるの待ってたよー。」(※一同)
{僕の子供は何人いるんだろ…。うわ~すごいな。野球チームでもサッカーチームでも
作れる勢いだ。}
元さん「そうだな。これだけの人数がいればどっちも作れるな。
オリジナルのチームで甲子園・ワールドカップを目指そう!!ハハハ」
肇「元さんはいったん置いておいて…。カンナさん一度にこれだけの出産 ワンちゃんですか?さすがにこの人数は認知を拒否してもいいですか?拒否権ありますよね?
そもそも僕には身に覚えがありません!!」
カンナ「拒否権はないよ?(笑)でも…。あれ?さすがに多すぎたかな~。
リアリティないね~(笑)
しょうがない!浮遊霊のみんな~。ありがとう~。解散!」
カンナさんの一声で部屋に居た大半の子供たちは帰って行った。
{ここ家 毎日初めましての幽霊さん増えるのに…。エキストラは呼ばなくていい!!}
肇「えっと…。 まだ、残ってますよ?カンナさんが抱っこしてる赤ちゃんが…。」
「カンナちゃんが最初に説明してたやん!ユズハゆうねん。覚えてや~。」
{めっちゃ可愛いのに関西弁ってギャップ萌え…。するかー!}
肇「この赤ちゃんはこの土地の地場に縛られた幽霊さんってことかな?」
カンナ「正解だよ~!物分かりがいいね。さすが肇くんだ。」
婆「ほ~れ ユズハやぁ ばあばとあっちであそぼーな。」
ユズハ「ばあちゃんはええわ。ユズハ
カンナちゃんがいいからあっち行ってええよ。」
婆「よし、じじい 元さんこの赤子攫っちまいな。」
{おーい!さっき僕に諭した道徳はどこえ言ったぁ?}
婆「そんなもんわ知らんわい!悪ガキはちゃんと教育するのも年長者のつとめじゃからの。」
そういうとユズハは寝室へと連れていかれたのだった。
肇「教育する場所…僕の部屋なんだ。」
その教育はまたしても深夜まで続き、睡眠時間を奪われたのは言うまでもなかった。
ユズハ「大人が赤ちゃんにこないな事としたあかんって知らんのー。」
婆「減らず口は災いの本なんやで~。」
「…………………。」
ユズハ「ごめんなさいやで~。 婆様」
この時、僕の体に付いていた霊力の跡=【霊跡】にカンナさんが気づいていることを後になって僕はしることになる。




